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「まるで重量級…」27歳中谷潤人“衝撃KO”に絶賛の嵐…それでも英国人記者が満点評価をつけなかった理由は?「井上尚弥が相手なら強引に詰めなかった」

posted2025/02/27 17:00

 
「まるで重量級…」27歳中谷潤人“衝撃KO”に絶賛の嵐…それでも英国人記者が満点評価をつけなかった理由は?「井上尚弥が相手なら強引に詰めなかった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

3度目の防衛に成功したWBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人(27歳)。圧巻KOでプロデビューから続く連勝記録を「30」に伸ばした

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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Hiroaki Yamaguchi

2月24日、東京・有明アリーナで開催された「Prime Video Boxing 11」。いずれも見応えがある試合となった軽量級最高峰の興行を海外の識者はどう見たのか。【NumberWebレポート全2回の前編/後編に続く】

 新たに“ビッグバン”という愛称を名乗り始めたWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(27歳、M.T)の強さは見事だった。

 2月24日、有明アリーナで行われた3度目の防衛戦で中谷はダビド・クエジャル(23歳、メキシコ)に3回KO勝ち。多少の被弾こそあったものの、プロデビュー以来の連勝を30(うち23KO)に伸ばした王者の充実ぶりが目立つ一戦だった。

 リングマガジンのランキング選定委員でもある筆者はこの試合後、同マガジンの編集人を務める英国人ライター、トム・グレイ氏と意見を交換し合った。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、かつて来日取材を敢行したことも。ここでは試合を振り返ってのディベートをお届けしたい。

「バランスよくない」初回に感じた異変

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杉浦大介(以下、DS) 予想通りの結果といえばそうですが、初の世界挑戦まで28戦全勝(18KO)という立派な戦績を誇ったクエジャルに圧勝したことで、中谷の評価はまた上がったんじゃないかと思います。トムは今戦の内容、結果をどう見ましたか?

トム・グレイ(以下、TG) 実は第1ラウンドを見た時点では、中谷は普段ほど素早くなく、バランスが良くないのではないかと感じたのです。パンチも少し大ぶりだったように思います。ただ、その時点では相手の偵察に過ぎなかったのでしょう。結論から言えば、3回以内にKOで圧勝したパフォーマンスに対して批判的になることはできません。

 あの3ラウンド、より積極的に攻めた中谷は強烈なボディブローを決め、中谷らしい攻めでノックダウンを奪いました。クエジャルも一度は立ち上がって意地を見せたものの、その後のラッシュでフィニッシュ。クエジャルはリングマガジンの階級ランキングでバンタム級の8位にランクされていた選手。つまり階級トップクラスのボクサーを相手にああいった形で格の違いを見せつけたのだから、見事としか言いようがありませんでした。

【次ページ】 「まるで重量級の戦いを見ているよう」

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