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「人生やり直せるなら、高卒でアメリカに行きたかった」数奇な野球人生を送った元DeNAドラ1・北方悠誠がドジャースで見た“ある光景”とは 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byTomo San/Yujo Kitagata

posted2025/02/22 11:17

「人生やり直せるなら、高卒でアメリカに行きたかった」数奇な野球人生を送った元DeNAドラ1・北方悠誠がドジャースで見た“ある光景”とは<Number Web> photograph by Tomo San/Yujo Kitagata

短くも充実した時間を過ごしたドジャース時代に、北方は何を得てきたのだろうか

 それはわずか17歳のベネズエラ人捕手の姿だった。

 北方と同じ頃にやってきたという少年は、チームの誰よりも練習熱心で、取り組む姿勢がずば抜けていた。

17歳の選手のハングリーな姿勢

「160キロの球を簡単に捕球したり、バッティングでもスタンドに放り込んだり。そういう技術面もすごいんですけど、練習に対する姿勢が日本人では考えられないなと思いました。自分を振り返ってみても、こんな17歳は日本にはいないよなって」

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 暇があったら練習し、分からないことはコーチに聞く。25歳になってアメリカのマイナー組織にたどり着き、冷静に状況を俯瞰できていた北方からすると、17歳の少年の姿勢は明らかに日本人に足りないものだった。

 いわゆるハングリー精神がそうさせている部分も少なくはないだろう。ただ、そうした選手の存在に対して、それを受け入れるだけの指導体制があることも事実だ。

 ポテンシャルの高い選手がいて、取り組む姿勢があり、それに応えられる組織がある。アメリカにはそれらが揃っているからこそ、世界最高峰のリーグを形成できるのだろう。

日本人選手がMLBを目指す「憧れ」以外の理由

 こういう話を聞いていくと、日本人選手のメジャー志向を考える上で重要なポイントとして、ただ「憧れ」という以外の部分にも着目する必要があると思えてくる。

 日本の指導環境には、やはり強制的なケースが多い。集合時間、解散時間がきっちり決められて、その間はチームとしての活動を優先しなければいけない。アメリカでももちろんやるべきことは決められていて、日本以上に計画的な部分もあるのだが、殺伐としたような空気はない。

 北方に、アメリカの指導体制についてより詳しく聞いてみた。

【次ページ】 アメリカのほうがむしろ計画的

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