野次馬ライトスタンドBACK NUMBER

異色の筋トレ動画が100万再生超…29歳若手監督が率いる“ナゾのマッチョ野球部”の正体「甲子園を目指すため、フィジカル中心に振り切りました」 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

PROFILE

photograph byZen Suzuki

posted2025/02/20 11:00

異色の筋トレ動画が100万再生超…29歳若手監督が率いる“ナゾのマッチョ野球部”の正体「甲子園を目指すため、フィジカル中心に振り切りました」<Number Web> photograph by Zen Suzuki

筋トレ動画がまさかのバズりを見せた藤嶺藤沢高校の野球部。29歳の若手監督率いるチームが「超フィジカル重視」になったワケは…?

 高校生の頃から、ずっと考えていた。”藤嶺はどうすれば横高や相模に勝てるようになるのか”。おそらく神奈川県の高校野球関係者のほぼ全員がぶちあたってきたこの難題を乗り越えるべく、菊地は様々な野球指導者に教えを乞い、野球技術の文献を漁り、いつか監督になる時のための蓄えをしてきた。

2022年秋、29歳の若さで監督に就任

 菊地が監督に任命されたのは2022年の秋。それまでコーチとして支えてきた山田晃生監督は、20年以上の長きにわたり藤嶺藤沢の監督を務め「育成功労賞」も受賞した、藤嶺藤沢の礎を作ってきた大恩人である。その山田が、2022年新チームとなった秋の大会4回戦で、三浦学苑に3-10とまさかの8回コールド負けを喫してしまう。その試合後、山田は「おまえに任せる」とだけ言葉を残し、監督を菊地に託した。

「そのタイミングで辞められるとは思ってもいなかったので驚きましたが、あとで聞けば敗戦の責任を取られたということです。やはり神奈川で勝つためには今までとは何かを変えなければいけない。そういう思いは皆どこかに、持っていたんだと思います」

ADVERTISEMENT

 近年の藤嶺藤沢の夏の戦績は、「3番・投手」で獅子奮迅の活躍を見せた矢澤宏太がいた2018年のベスト8を最高に、19年は初戦で橘高校に衝撃のコールド負け。20年は3回戦負け。山田体制に戻った21年は5回戦進出も東海大相模にあわやコールドの大敗。2022年は4回戦で古豪・横浜商に競り負けるなど、ベスト16の壁はいまだ高く、強豪私立との差は埋まらないままだった。

 2022年秋の大会終了後、山田から実質的に監督のバトンを引き継いだ菊地は、これまで学んだ蓄積を以て「新しい藤嶺藤沢を作る」と燃えた。そしてその冬から、若さと情熱を前面に押し出し、自らが先頭に立って、ヘトヘトになる夜遅くまでグラウンドで選手と共に猛練習をこなした。

 果たして、その結果が出た春季大会。その結末は衝撃的なものだった。

<次回へつづく>

#2に続く
平均体重は2年で67kg→77.8kgに…29歳監督率いる神奈川県の野球部が“超フィジカル主義”で甲子園を目指すワケ 目標体重届かず「ベンチ外になる主力も」

関連記事

BACK 1 2
#藤嶺藤沢高校
#菊池幹

高校野球の前後の記事

ページトップ