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「撮れ高が…」テレビ局ガッカリ…楽天キャンプに行ったら“じつは多い”非公開練習、現場の実態「黄色いビブスの取材クルーが所在なく」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2025/02/10 17:02
久米島から沖縄本島に移り始めている楽天キャンプ。非公開練習だとどんな感じ?
じつは春季キャンプ、特に監督が代わった時には頻繁にある。特に守備の連携などで、新しいサインをナインに徹底させたり、ポジションをコンバートした選手の動きを集中的に確認するときなどに、報道陣、ファンに非公開で練習が行われる。
こうなると報道陣はやることがなくなる。キャンプ地では黄色いビブスが貸与されるのだが、黄色い集団が所在なさげにキャンプ地のあちこちに散らばっていた。グラウンドに隣接する丘の上のキッチンカーで早昼を摂るクルーも(筆者のことだが)。
40歳になった岸はいまだに引き締まった身体で
10時半を回ったころに、ブルペンがあわただしくなった。楽天は、NPBで最初に弾道測定器「トラックマン」を導入したチームだ。ブルペンのレーンにはポータブルのトラックマンが多数設置された。この充実ぶりは、他球団にはない。
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そして、楽天新外国人投手のスペンサー・ハワードがキレの良い変化球を投げ込み、去年はヤクルトで投げていたミゲル・ヤフーレもマウンドに上がった。少し前まで、外国人選手はキャンプ合流が遅れたものだが、今はキャンプインから参加しているうえに、この2投手のようにすでに仕上がっている場合が多い。
しばらくしてサブグラウンドに投手陣が集まり、ノックが始まった。テンポよくボールをさばいていく。投手は、ノックが好きな選手が多い。みんな嬉々として打球をさばいている。
もう一度ブルペンに戻ると、右端で背番号11がゆっくりと体を動かし始めた。今年40歳の岸孝之だ。
細身の体のどこに、これだけの持久力があるのか――と思うが、引き締まった身体から鋭い球を投げていた。早くも2回目のブルペンとのことだ。通算164勝。今年の活躍次第では、200勝も少しずつ視野に入って来るのではないか。
メイングラウンドが空に「撮れ高が…」テレビ局の嘆き
ようやくメイングラウンドの規制が解除され、カメラもペンもグラウンドに入った。
グラウンド前では、野手陣のダッシュが行われた。後日ブルペンに入ったことが話題を呼んだ辰己涼介、小郷裕哉、マイケル・フランコ、山﨑剛、主力級のダッシュはなかなか迫力があったが、数分で終わって、あとはランチ。メイングラウンドは空になった。
「撮れ高が……」
テレビ局のカメラマンがつぶやいていた。再びブルペンに行く。


