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「身長でばれてしまうことも(笑)」あの“春高ヒロイン”は今…母になったバレー二見梓の“引退その後”「メールの打ち方もわからない」からのセカンドキャリア
text by

吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/02/05 11:02

現役引退後、現在は東レエンジニアリングの広報宣伝課で業務を行う二見梓さん
「メールの打ち方さえわからない」からのスタート
現役のときから結婚しても出産しても、いまの会社で働きたいと願っていた。実際、東レバレーボール部を引退した後、二見は社業への専念を選択。高校卒業後、初めての社会人生活は思いのほか楽しかったが、仕事の業務をこなしていくうえではバレーボールのようにスムーズにはいかなかった。
「中学、高校とバレーボールしかしていない人間ですから、当時の先輩方には本当に迷惑をかけましたし、教えるのも大変だったと思います。わからないことがあればすぐに聞くし。メールの打ち方さえもわからないから、他のメールをコピーしたりして。実務が全くできなかったので苦労しましたね」
だからこそ、セカンドキャリアと向き合うアスリートたちにはこんなアドバイスも。
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「もちろん現役のときは競技のことで頭がいっぱいいっぱいだと思いますけど、競技以外の世界を覗いてみることも大切だと思います。企業や所属先の社員さんと接する機会があったら交流を持ったり。私の場合は、英語をちゃんとやっとけばよかったなと思っています。ビーチバレー時代は外国人監督やトレーナーがいて日常会話はこなせても、細かいニュアンスを伝えられなくて周囲の人に頼っていた部分もありました。今はGoogle翻訳ばかり使っているんですけど(笑)、英語をしっかり喋れたら仕事の幅が広がると思います」
昨年9月に産休から復帰「格好いい母でありたい」
昨年9月に産休から復帰した二見は、現在広報宣伝課で宣伝や制作物関連の業務を担当。育児支援制度を使い息子を保育園に預けながら、仕事と育児の両立を目指している。
「仕事はまだ手探り状態なんですけど、『アスリートだったから仕事はこれしかできないよね』と思われないように。母としては不器用なほうなので、家族や地域社会の手を借りながら子供を育てようと決めました。お腹の中にいた頃から一緒にいた子どもを他の方に預けることに、最初は不安もあったんですけど、保育のすごさに出会って考え方が変わりました。息子は保育士さんを見ると抱っこしてほしい、と手を出して、私と離れても全く泣かないんです(笑)。息子の性格だと思うんですけどね。そんな毎日に感謝しながら、ちゃんと一人前に仕事をして一生懸命子どもを育てる。そんな格好いい母でありたいと思います」
母としての強さ、仕事人としての誇りを手にした二見は、新しい目標に向かってプロセスを踏み始めた。《インタビュー第1回、第2回も公開中です》
(撮影=杉山拓也)
