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「井上尚弥に勝つにはKOしかない」不気味な“韓国人ボクサー”キム・イェジュン(32歳)“人生を変える大舞台”へ「パワーは私のほうがある」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byMike Altamura

posted2025/01/22 11:01

「井上尚弥に勝つにはKOしかない」不気味な“韓国人ボクサー”キム・イェジュン(32歳)“人生を変える大舞台”へ「パワーは私のほうがある」<Number Web> photograph by Mike Altamura

井上尚弥との試合を前に電話取材に応じてくれたキム・イェジュン(32歳)

――井上は日本人ボクサーの中でも突出した実績を残してきました。井上の映像も見てきたと思いますが、その素晴らしさとはどこにあるのでしょうか?

YK 井上のスタイルも他の日本人選手たちと同じだというのが私の認識です。ただ、彼はすごいパワーを持っていますね。フィジカルが強いし、パワーは飛び抜けています。先ほども言ったように、日本人ボクサーはアマチュアで仕込まれた突っ立ち気味のスタイルですが、井上の場合はそれにパワーがプラスされるのです。それでも私の方がよりパワーはあり、その点がこの試合の鍵だと思っています。

――もともとオーソドックススタンスですが、今ではスイッチヒッター、主にサウスポーとして戦っています。トップボクサーの中でもかなりの異例のこの変化の経緯を改めて話してもらえますか?

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YK もともと右利きなので、依然としてオーソドックススタンスでも自信を持って戦えます。ただ、これまで話してきた通り、2021年に右肩腱板の手術を受けた後、スタンスを変える決断をしたんです。今ではサウスポーとして快適に戦っています。

――井上相手にもサウスポーで戦うつもりでしょうか?

YK その通りです。

井上尚弥に勝つにはKOが必要

 2012年2月にプロデビューしたキムは、2戦目で早くも黒星を喫し、最初の7戦を終えたところで4勝(1KO)1敗2分。アマキャリアもないゆえに無名であり続けたが、それでも地道に力を蓄えてきた。特に2022年以降はメキシコ、アメリカ、オーストラリア、タイと転戦し、ここで日本でのビッグファイトに漕ぎ着けた。

 国外での試合経験も豊富とあって、英語力はコミュニケーションを取るには十分。来日後のメディアイベントは通訳を同伴していたが、今回のインタビューは通訳なしで直接対応してくれた。さまざまな意味でたくましさを感じさせる叩き上げのコリアンファイター。世界レベルの力を持っているかはまだ未知数ではあるものの、少なくとも敵地での大舞台でも臆することなく力を出せることは間違いないのだろう。

――今回、日本のリングで日本のスーパースターと戦うことになりました。井上に勝つにはKOが必要だと考えていますか?

YK 私が勝つには井上をKOしなければならないでしょう。それが今戦における私の目標であり、勝利のためのプランでもあります。

――細かいファイトプランはここでは明かせないとは思いますが、どう戦うつもりかのイメージを話していただけますか

YK アグレッシブに攻めるつもりです。井上の正面に立ち、真っ向から打ち合います。激闘(War)と呼べる戦いになるでしょう。井上の試合は間違いなく激闘になるだろうと私は感じています。

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