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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥に勝つにはKOしかない」不気味な“韓国人ボクサー”キム・イェジュン(32歳)“人生を変える大舞台”へ「パワーは私のほうがある」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byMike Altamura
posted2025/01/22 11:01
井上尚弥との試合を前に電話取材に応じてくれたキム・イェジュン(32歳)
――両親がおらず、孤児として施設で育ったというあなたの人生は日本のファンにも知られるようになりました。その中でなぜボクシングを始めようと思ったのですか?
YK シンプルに強くなりたかったからです。両親がいなかった私は施設で育ち、子供の頃、身体が小さかったがために他の生徒たちにいじめられたことがありました。そんな経緯から、19歳で施設を出た後、ボクシングを始めたんです。(注:他のインタビューでは「お金を稼ぎたかった」とも話しているが、ここでは「強さ」への渇望だけを強調していた)
――幼少期に好きだった選手は?
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YK マニー・パッキャオです。
――映像などをよく見るボクサーはいますか?
YK 現在のフェイバリット・ファイターはテレンス・クロフォードです。彼もスイッチヒッターですからね。だからクロフォードの映像はよく見ます。試合だけでなく、トレーニング、キャンプの様子、スパーリングでの姿など、クロフォードのビデオは何でも見てきました。
目標は「韓国初の3階級制覇」
――ボクサーとしての最終目標は?
YK これまで世界王者を目標に戦い続けてきました。夢を叶えて世界王者になったとしたら、その後はフェザー級、スーパーフェザー級も制したいです。過去に3階級を制した韓国人ボクサーはいません。だから私は母国初の3階級制覇を成し遂げ、韓国ボクシングの歴史を塗り替えたいんです。
――韓国では世界王者がしばらく生まれていません。母国のボクシング人気をもっと上げたいという思いはあるのでしょうか?
YK 私が世界王者になれば、韓国でもボクシングはもっと人気になるはずです。特に井上のような世界王者に勝ったとなれば、それはなおさらです。
◆前編では、スパーリングパートナーとしてキム・イェジュンと対峙したジェイソン・モロニーのインタビューを掲載中。井上尚弥とも対戦経験がある実力者の言葉は、“ナゾの韓国人ボクサー”を知る上で貴重な証言となっている。