「両親もつらい時期だったかと」イップスに襲われた山本由伸世代のドラ3新人「キャッチボールすら…」元ロッテ右腕26歳は、大学院生になっていた 

　当時、ロッテの石垣島キャンプは一、二軍が同じ運動公園内で行っており、ブルペンも共用だった。ギャラリーの多さに「うわー、熱心なファンの方が多いな」との思いを秘めつつ、こんなに近くで見られるのか、と18歳らしい初々しい気恥ずかしさを持ったという。

「1年目ということもあり、チームは僕に対して、しっかり体を作ってから育成していこうというスタンスだったので、実戦で投げる機会はあまりなかったですね」

　しかし島は1年目から、大きな試練を味わうことになった。

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　いわゆる「イップス」を発症してしまったのである。

「投げていると、ボールが抜けることが多くなって、思っていたところと全然違うところに行っちゃう。〈なんでかな〉とは思っていたんです。そのうちに〈ボールが抜ける〉感覚もなくなってきて。何をどうしたらいいのか、だんだんわからなくなった。そうなるとキャッチボールすら、まともに投げられなくなって……」

いろいろなことが重なって大きなストレスに

　コーチからは「こういう風に投げたら？」とフォーム面でのアドバイスを受けたが、一向に回復しない。その中でファームの試合にも何回か登板した。球速は出るものの、コントロールはめちゃくちゃで、四球ばかり出してしまった。

「今思うと、これまでとは全く違う新しい環境に適応できなかったのかなと思います。寮生活も初めてで、やるべきこともたくさんあって、いろいろなことが重なって大きなストレスになったんだと思います」

ロッテ時代、キャンプでの島　©Kou Hiroo

　島は当時をこう振り返る。高卒1年目で、いきなり「投げられない」状況に陥ってしまった。心理学系の専門家に話を聞き、徐々に良くなってくる感じはあったが、安定しない。「良い時もあれば悪い時もある」という状態が長期間にわたって続いた。それは2年目当初もそうだった。

「前半戦は投げることができなくて、後半になって数試合投げられるようになったのですが、感覚もよくなくて。本来の自分からは遠ざかってるような感じでした」

両親にとってもつらい時期だったとは

　この時期から、同じファームでも周囲の選手が活躍し始めた。「職業としてお金を貰っている」のに野球ができないのは、アイデンティティの部分で、つらさを感じていたという。

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