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高校サッカー“PK戦途中で中継終了”だけでなく…「大雪順延→決勝は録画放送」「坊主頭vs金髪の司令塔」“テレビに映らない”衝撃の事件簿
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2025/01/14 17:02
前橋育英と流通経済大柏の白熱した決勝戦。全国高校サッカー選手権には独特の磁力がある
ただ試合は予期せぬ順延にも両校が万全の準備で臨み、2ゴールを取り合う白熱の展開に。PK戦の末に鵬翔が悲願の初優勝を飾ったが――松崎博美監督は、思わぬ形で“5日間延びた”高校ラストゲームで、最後の最後まで成長した部員たちに「たくましさ」を感じ、感謝の念を伝えていた。
名場面でなかなか見られない“金髪の司令塔”
<名言3>
安い脱色剤を使って髪の色を軽く抜こうと思ったらそのまま寝てもうてえらい色になってしまっただけで。
(石塚啓次/NumberWeb 2021年2月20日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847068
◇解説◇
古くは水沼貴史、レフティーモンスター小倉隆史に川口能活、城彰二のアトランタ世代、本田圭佑に岡崎慎司、そして大迫勇也に103回応援リーダーの上田綺世……選手権ではその後プロの世界で異才を放つスターが現れ、試合間のテレビ中継の名場面でも紹介される。一方で“あまり映し出されない名選手”の1人といえば、山城(京都)の石塚啓次だろう。
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選手権を特集したNumber995号では「選手権最高のヒーローのアンケート」を実施し、1位・平山相太を筆頭に大舞台で輝いたスターが並んだが……ケガで出場機会が限られた石塚が、6位にランクインした。
それは天才的なゲームメーク能力はもちろんのこと、その風貌があまりにトガっていたからだ。チームは決勝に進み、国見との一戦で石塚が途中出場でピッチに入る。小嶺忠敏監督率いる名門の選手は全員“坊主頭”で戦う中、石塚は“ほぼ金髪の茶髪”でロングソックスという――今でも少々物議を醸す可能性があるが――そのいで立ちに、目を引き付けられたファンは多かった。とはいえ現在バルセロナでうどん屋を経営する石塚本人は“目立ちすぎた”と反省しつつ「黒に染め直す金もなかっただけやしね(笑)」とバツが悪そうに語っていたのだが。
「ゲームの雰囲気をあんなにも一変させられる高校生なんて、後にも先にもいないのでは。最高のヒーローではなく、未完のヒーローだけれども」
前述のアンケートには、石塚に対して今も変わらぬ憧れを寄せる声もあった。それほどまでに選手権は、今も昔も多大なインパクトを残している。〈高校サッカー特集:つづく〉