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「この順位はヤバい」青学大“1区10位”の誤算でも…じつは余裕だった? 原晋監督が予言していた“箱根駅伝の圧勝プラン”「普通に走れば独走」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/02 21:35
箱根駅伝の1区で10位とやや出遅れた青学大の宇田川瞬矢(3年/写真右)。それでも、原晋監督の“圧勝プラン”に大きな狂いはなかった
「レース前に(原晋)監督から『駒澤さんと國學院さんをマークしろ』と指示がありました。そこだけをマークして誰かが出たら出ようかなという感じでレースを進めました。(吉居が抜け出したときは)ひとりでいったなあと。ちょっと想像していたので、そんなに動揺もしなかったです」
「さすがにこの順位はヤバい」それでも悲壮感はなく…
昨年と一昨年の箱根覇者が牽制し合う中、その警戒網を抜け出した吉居は快速ひとり旅で大きく抜け出す。レース終盤、20km地点で宇田川は2位集団からふるい落とされ、1mそして2mと離されていく。中継バイクからは実況の叫び声が響く。
「チャンピオン・青山学院にピンチが訪れています」
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残り1.3km、「さすがにここ(この順位)でタスキを渡すのはヤバい」という危機感で必死に足を前に繰り出し続けた。なんとか10位に滑り込んだが、区間賞の吉居との差は1分44秒。1区の結果を速報で伝える記事には「昨年王者、出遅れ」の見出しが躍った。
鶴見中継所を後にしようとする宇田川を記者が取り囲むと、「最低でも2位は取りたいなっていう風に思っていたんで、かなり悔しい」という反省の弁が返ってきた。ただ、その声色に悲壮感はまるでない。優勝の味を知る昨年のアンカーは下を向くことなく、茶目っ気たっぷりにこう語った。
「監督からは『先頭と30秒以内なら合格点』っていうのを言われていました。今回、結果としては1分以上離されてしまった。ただ、國學院さんと駒澤さんと十何秒差で行けたというところで大目に見てもらいたいです」
どこか余裕を感じさせる、許しを乞う言い回し。裏を返せば1分44秒差であっても「あとは他のメンバーがやってくれる」というチームへの信頼感があるのだろう。一体、その余裕はどこから来るのか。
「復路はピクニックランに」原監督の絶対的な自信
今季の青学大は、結果だけ見れば出雲駅伝3位、全日本大学駅伝3位と國學大、駒大の後塵を拝してきた。だが、原晋監督は箱根駅伝には並々ならぬ自信を見せていた。12月10日のエントリーメンバー発表の会見では「普通に走れば独走」と宣言。同12日の壮行会でもこうぶち上げた。