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沿道からのヤジに「他の選手が『気にしないで』と…」立教大監督を解任→現役復帰の39歳・上野裕一郎がニューイヤー駅伝で“4人抜き”大激走の衝撃
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/01/02 11:03
39歳ながらニューイヤー駅伝で4人抜きの快走を見せた上野裕一郎。立大監督解任からは波乱万丈なリスタートだった
それだけに、区間6位の成績にも心の底から満足はしているわけではない。
「区間5位を取れれば、過去の自分と比べても高く評価できると思っていたんですけど、1秒足りなくて、詰めが甘かったなと思います。それに、ひらまつ病院の理事長が『一桁順位でいきたい』とおっしゃっていて、それに向けて前を追っていったんですけど、差を縮められませんでしたから」
快走にも、反省の言葉も口をついて出た。
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走っている最中には、沿道から多くの声援を受けたという。
「僕の不祥事があったなか、走っている最中ずっと『上野頑張れ』『裕一郎頑張れ』って、すごい応援をいただきました」
そんな声援は上野の背中を押してくれた。
沿道からのヤジにライバルチームの選手が…
一方で「中にはあまり聞きたくない声もありましたけど」とも振り返る。応援してくれる声が多かったなかで、立教大監督時代の不祥事を掘り返すようなヤジも一定数あったという。
そんな時に、上野の心の救いとなったのは、ライバルチーム選手の気遣いだった。
「ヤジが飛んできた時に、漆畑(瑠人)君(安川電機)が『あまり気にしないでいきましょう』などと声をかけてくれたんです。それで、僕のほうも『一緒に頑張ろう』とか『俺について来い』と声をかけました。そういうのがあって、改めて陸上っていいな、駅伝っていいなって思いました」
15.3kmの道中に、こんなやりとりがあったことを上野は明かしてくれた。
上野は今年7月に40歳を迎えるが、まだまだ走っていくつもりだ。
「陸上界では、岡本直己さん(中国電力)が40歳でも走っていましたが、しっかり結果を出す1年にして、40歳でもまだいけるんだぞっていうところを見せたいです。チーム内には荻久保という大きい目標がいますので、荻久保に負けないようにやっていきたい。昨年は個人の記録にこだわりすぎたので、今年はしっかりと駅伝で、チームのために頑張りたいです」
未だ進化する39歳、今年はどんな活躍を見せてくれるのだろうか。