箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
沿道からのヤジに「他の選手が『気にしないで』と…」立教大監督を解任→現役復帰の39歳・上野裕一郎がニューイヤー駅伝で“4人抜き”大激走の衝撃
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/01/02 11:03
39歳ながらニューイヤー駅伝で4人抜きの快走を見せた上野裕一郎。立大監督解任からは波乱万丈なリスタートだった
そんななか、上野は区間6位だっただけでなく、4つ順位を上げる活躍を見せた。
かつての教え子、関口絢太(立大→SGホールディングス)と奇しくも同じ区間を走ったが、区間タイムで勝利している。
「名だたるメンバーの中で、自分にはもう捨てるものがない。39歳にもなりましたし……。僕がまさか区間6番になるとは、たぶん誰も思っていなかったと思います。この年齢でもできるんだぞっていうところをしっかりと見せていけるように、また頑張っていきたいと思います」
「いろんな人が支えてくださって…」感謝の想い
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上野にとっても、してやったりのレースだった。
「人に助けられ、自分の中で、感謝という気持ちがより大きくなったのが、去年の1年間でした。いろんな人が支えてくださって、こういうところで走れるんだっていうのを忘れてはいけない」
そんな思いをもって、上野はニューイヤー駅伝に臨んでいた。
今回の駅伝への思いの強さを感じさせるエピソードは、昨年11月の八王子ロングディスタンスにもあった。
1万mに出場した上野は4000m過ぎにレースを棄権している。上野はどんなに遅れても最後まで走り切るイメージがあっただけに、珍しいことだった。その理由を聞くと、こんな答えを返した。
「練習もできていたし、調整の段階でも悪くはなくて27分台を狙いにいきました。でも、タイムを出そうと思って頑張りすぎて、疲労が抜け切っていませんでした。27分台は出そうになかったので、ここで無理してダメージを残すよりもニューイヤー駅伝に繋げようということでレースを止めました。あまり棄権することがないので悔しい思いでいっぱいだったんですけど、その悔しい思いがニューイヤーに少しは繋がってくれたのかなと思います」
リスクを回避して、ひらまつ病院の看板を背負って走るニューイヤー駅伝に調子を合わせてきた。