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「引退する前に息子とNBAで同じコートに立つ」40歳レブロン・ジェームズが叶えた“夢”…1年半前、心臓発作で倒れた息子と“奇跡の共演” 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byAP/AFLO

posted2024/12/30 11:06

「引退する前に息子とNBAで同じコートに立つ」40歳レブロン・ジェームズが叶えた“夢”…1年半前、心臓発作で倒れた息子と“奇跡の共演”<Number Web> photograph by AP/AFLO

息子ブロニー(右)とNBAのコートに立ったレブロン・ジェームズ。父として、チームメイトとして、息子をサポートした

 シングルマザーのもとで育ったレブロンにとって、家族は人生で最も大事な存在だ。19歳にしてブロニーが生まれて父になると、自分が得られなかった父の愛情を、ブロニーに、そしてその後生まれたブライスやズーリに注いで育ててきた。それでもNBA選手として遠征などで家を留守にすることが多かったため、子供たちの成長の多くの瞬間を見逃してきたという悔しさがあった。

「だからこそ、こうやって自分がまだ現役の間に息子といっしょにプレーできるということは、神からもらった大きな贈り物のひとつだと感謝している。そのことを最大限に楽しみたい」

 2人にとって、そしてジェームズ家にとって、この瞬間がかけがえのない時間である理由がもうひとつあった。NBA公式戦デビューからさかのぼること15カ月前の2023年7月、南カリフォルニア大学に入ったばかりのブロニーが夏の練習中に心臓発作で倒れ、病院に運ばれるという出来事があったのだ。その後の精密検査で先天性心疾患による発作だとわかり、5カ月後には再び大学チームに合流することができた。大学のシーズンを終えた後にNBAへのアーリーエントリーを表明し、NBAの健康診断もクリア。一瞬でも死を意識した一家にとって、ブロニーが健康になって、プロ選手としての夢を追えるというだけで、幸せなことだと感じられるようになった出来事だった。

ブロニーに受け継がれる“努力の姿勢”

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 開幕から3カ月たち、ブロニーはNBAの試合では主にベンチから父をはじめとするチームメイトたちを応援し、時にGリーグのサウスベイ・レイカーズで試合に出て過ごしている。12月28日の時点でNBAでの出場試合数は7試合で、平均わずか2.6分の出場だ。Gリーグでも9試合に出場し、平均27.9分の出場で14.7点、4.2アシスト、4.4リバウンド。30得点をあげた試合もあった。

 数字だけ見ると通算得点で4万点以上をあげた父とは比べものにもならないが、それがどれだけ素晴らしいことなのかは、ブロニーもレブロンも理解している。何しろ、ブロニーが心臓発作で倒れてから、まだ1年半ほどしかたっていないのだ。今でも、そのメンタル的なハードルを乗り越えようとしているのだと、ブロニーは言う。

「乗り越えようとしている。簡単なことではないけれど、毎日、努力している」

「毎日、やるべきことに取り組み、毎日上達するように、毎日何かを学ぶように、そして毎日、自分のゲームをするように努力している。そうすることで、愛するバスケットボールを毎日楽しめるのだと思う」

 レブロンも以前、ブロニーの一番の長所は努力し続けられることだと語っていたことがあった。子供のときから、父がコートに立つ準備をするために努力し続ける姿を見てきたからなのだろう。大好きなバスケットボールを楽しむために努力を惜しまない。レブロンからブロニーに受け継がれた大事な資質だ。

 そんなブロニーを、レブロンも父として、チームメイトとして見守っている。

【次ページ】 引退が近づく父、息子の存在を活力に

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