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「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byMiki Fukano

posted2024/12/26 17:03

「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」<Number Web> photograph by Miki Fukano

16年のプロ生活の末にバットを置いた「野球が天職の男」大田。ジャイアンツのアカデミーコーチとして第二の人生のスタートを切る(撮影/読売新聞ビルにて)

「ファイターズのときは、調子も良かったし成績も残していて、自由契約になったシーズンは結果が出ずノンテンダーになったけど、プライドもあったし、まだまだこれからってタイミングだったので衝撃が大きかったんです。けどベイスターズの場合は、まわりを見渡しても年代的に同じような境遇の選手が増えてきたので、そういう時期が来たのかなって。若い選手ならまだしも、今季の僕の成績では厳しいだろうなとは思っていましたから」

ファーム生活にも気落ちはせず

 DeNA3年目の今季の大田は、3月に左腿裏を痛め出遅れると、そのまま一軍に呼ばれることなくファームでの生活がつづいた。序盤こそ怪我の影響で調子が上がらなかったが、8月と9月は打率3割超えと踏ん張りをみせたものの、優勝争いをしていた一軍から声が掛かることはなかった。プロ入りして以来、一軍登録なしは初めてのことだった。長いファーム生活に気持ちが荒むことはなかったのだろうか。

「いや、それはなかったですよ」

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 笑みを浮かべつつ、大田はシリアスな声でつづけた。

「ファームとはいえ試合に出させてもらっていましたし、今年は優勝争いもして面白かったし、やりがいもありました。今日勝ったら何ゲーム差だよね、なんて若い選手たちと話したり、『泰示さん、今日は頑張りましょう!』と言ってもらえたり。若い選手たちと一緒にやれて気持ちも若く保つことができ、そういった意味では気を落とすことはありませんでしたね。目の前の試合に向かって、しっかり準備するのがプロ野球選手ですから、そこは変わらず継続できたと思います」

野球をつづけるつもりだった

 ファームの試合、大田は一軍にいるときと変わることなく、ベンチで誰よりも声を出し、仲間を叱咤激励していた。

「それをやりつづけられたことも、自分にとっては大きな財産ですね」

 決してブレず、手を抜かない男、それが大田泰示だ。

 9月28日、DeNAは42年ぶりのイースタンリーグ優勝を決めた。その翌日の横須賀スタジアムでのファーム最終戦で大田に会い「まだ、選手をつづけますよね?」と問うと、「そのつもりでいます」と覚悟するように言った。野球が天職だと言って憚らない熱血漢。どんな形であっても、プレーしつづけるのだろうなと思っていた。

【次ページ】 胴上げされるのは固辞した

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