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「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」

posted2024/12/26 17:03

 
「笑顔で終われたと思います。本当に」さらば大田泰示…巨人→日ハム→DeNA、永遠の野球小僧は大舞台に無縁でも「日々を一生懸命やり切った」<Number Web> photograph by Miki Fukano

16年のプロ生活の末にバットを置いた「野球が天職の男」大田。ジャイアンツのアカデミーコーチとして第二の人生のスタートを切る(撮影/読売新聞ビルにて)

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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Miki Fukano

各球団が戦力を再編する季節。ベイスターズでも一人の好漢が今シーズン限りでバットを置いた。大田泰示。ジャイアンツのドラフト1位、しかも背番号55を託されるという重圧の下で始まったプロ生活。決してずば抜けた成績を残せたわけではない。それでも笑顔で終われた野球人生を語り尽くしたNumberWeb独占インタビュー!〈全2回の1回目/つづきはこちら

 陽光ふりそそぐ冬の青空のもと、濃紺のスーツに身を包んだ大田泰示は、16年間のプロ野球人生が終わったことを実感していた。

「これからの仕事に関してジャイアンツの方と打ち合わせをしたり、新たな目標ができたというか、次のステージに向かっているなといった感じではあるので、ああ、引退したんだなって」

 その表情には寂しさはなく、新たな道を歩む人間ならではの好奇心に満ちていた。これから大田は、古巣の巨人が運営する『ジャイアンツアカデミー』の指導者として第二の人生をスタートさせる。

プロ野球人生に後悔はない

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 11月18日の引退会見の際、大田はその席上で「後悔はない」と言い切った。決してずば抜けた成績を残せたわけではなかったが、とにかく毎日、誠心誠意野球に向き合えたことが自分の誇りだ。

「苦しんだし、きつい時間もあったし、しんどいことも多かったけど、トータルで考えてみれば、日々一生懸命できたところは自分でも評価してもいいのかなって」

 大田はそう言うと静かに微笑んだ。

 10月1日、所属する横浜DeNAベイスターズから契約を更新しないことが公式発表された。9月下旬に球団から大田に電話で連絡があり、その翌日DOCK(ファーム施設)で直接伝えられたという。

“ノンテンダー”のときとは違う心境だった

「まだ残りの試合もあるしファームの優勝も掛かっていた時期だったので、気持ちの整理をつけるのが難しい状況ではありましたね」

 ファームでは42年ぶりのイースタンリーグ優勝に向けシビアな試合の連続だった。大田も戦力の一人として率先してチームを盛り上げていた。

「でも、やっぱりシーズン中から……気持ちの準備は少なからずしていたので、伝えられたとき少しショックは受けたけど、衝撃ってほどではなかったんです」

 2度目の自由契約。3年前は北海道日本ハムファイターズからその旨を伝えられ、当時は“ノンテンダー”と話題になったが、あのときとはやはり心境は違ったという。

【次ページ】 ファーム生活にも気落ちはせず

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