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「長野(誠)さんの言葉は意識しています。でも、ひとつだけ…」SASUKEのエース“サスケくん”こと森本裕介(33歳)が語った「完全制覇」への想い
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/25 17:01
SASUKEで2度の完全制覇経験を持ち、番組の大トリを務めることも多い森本裕介。33歳になった「サスケくん」の軌跡とは
なかでもミスターSASUKEこと山田勝己の姿が印象に残った。この時、山田はあと数十cmで完全制覇を逃している。
「僕のSASUKEのスタートは第3回大会の山田さんのファイナル。偶然テレビで観て、山田さんがギリギリ完全制覇に届かなかった。子どもながらに、全てをこれに懸けてることが伝わってきたんです。漠然と僕はこれに絶対出たいと思ったのをすごく覚えてますね」
まだ放送日程を把握しておらず、およそ半年後に元毛ガニ漁師の秋山和彦が初の完全制覇を果たした第4回は見逃してしまった。リアルタイムで完全制覇を目撃したのは、2006年10月放送の第17回大会。第28金比羅丸船長(当時)の長野誠が史上2人目の快挙を成し遂げたのを観たとき、中学3年生になっていた森本の心に火がついた。
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「ぼんやりといつか出たいみたいな感じでトレーニングをやってたんですけど、これはテレビの前で見てる場合じゃない。僕も出るんだ! って本気にさせてくれたのが長野さんの完全制覇でした」
今から17年前…第18回大会に中学生で初出場
その次の第18回大会に森本はさっそく出場した。「修行中」と書かれた白いTシャツ姿で初々しく登場した中学生は、ファーストステージのトランポリンを使ったジャンピングスパイダーへの飛び移りで落下。これがSASUKEとの長きにわたる戦いの第一歩だった。
その後、高2までの間に4度出場するもいずれもファーストステージでリタイア。芳しい結果が出ないまま、しばらく出場資格も得られないようになる。
「あの頃はとにかく自分の持ってる時間を全てSASUKEのトレーニングに使っていました。練習をやればやるほど強くなると考えていて、がむしゃらに量だけをたくさんやるような意識でした。それは一面では正しくて、体力はすごく上がったけど、SASUKEはスキルも必要。そういうところが全然だめでした。
それにやっぱりメンタルの準備も大事です。そのあたりは全く考えてもいなかったんで、本番は毎回頭が真っ白でした。がむしゃらに取り組んできた分、落ちたくないという思いも強くて硬くなってしまった」
本戦出場が遠のいている間に、森本は高知中学・高校から高知大に進学した。今までと同じように部活に入らずSASUKEに邁進しようと思っていたが、友人に誘われてクライミング部に入った。これがひとつの転機になる。