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「長野(誠)さんの言葉は意識しています。でも、ひとつだけ…」SASUKEのエース“サスケくん”こと森本裕介(33歳)が語った「完全制覇」への想い
posted2024/12/25 17:01
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Nanae Suzuki
最強の男にそれっぽいオーラはなかった。
約束した場所で待っていると、王者は番組で見慣れた会社の白いジャージを着て、てくてくと歩いてやってきた。通行人かと思って道を開けようとしたら、よく見るとそれが森本裕介だった。
異形の掌…指にも「筋肉あるんだって思った」
現役最強SASUKEプレーヤー。字面から想像するいかめしさに比べれば、サスケくんと呼ばれる男にその雰囲気はまるでない。ただ、上着を脱げば明らかに太い腕と胸の厚みが目につく。そして、こんもりとした独特の手。膨らみかけたもちのようにふっくらとした柔らかいこの手で、何度も人智を超えた巨大アスレチックと渡り合ってきたのだ。
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「よく分厚いと言われますね。長年かけて指も太くなってきました。学生時代に一度指を怪我したことがあって、ギプスを1、2カ月してたんですよ。ギプスを外したら1本だけすごく細くなってて、やっぱりこれ筋肉あるんだって思ったことがありました」
サードステージの最難関エリア『バーティカルリミット.BURST』の練習を重ねたことで左手の方が若干大きい。クライミング選手のように指はまっすぐ伸び切らなくなり、指関節には常に痛みがある。
「命、削りまくってます。最近は特に削ってますね。30歳を超えて体のいろいろなところが痛くなるんで、そう感じます」
森本がSASUKEに出会ったのは小学1年生の時だ。
テレビのチャンネルを回していた父親に「裕介の好きそうな番組がやってるぞ」と言われて見てみると、大のおとなたちが真剣な顔をして超巨大アスレチックに立ち向かっていた。球技は苦手だが、木登りやアスレチックは好きだった少年はすぐに虜になった。
「人生が大きく変わりましたね。あの日、あそこで大きく変わりました」