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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「これだけ働いて8000円なのか」元プロ野球選手が初めて知った現実…「吉祥寺の交番から“鬼の四機”へ」大田阿斗里35歳が警察官として生きる理由
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph bySankei Shimbun
posted2024/12/21 11:05
2016年11月12日、甲子園での12球団合同トライアウトに参加した大田阿斗里(当時27歳)。ここで手にした一冊のパンフレットが運命を変えた
吉祥寺駅前の交番から「泣く子も黙る四機動」へ
警察学校を卒業後、大田はついに警察官となる。配属先は武蔵野警察署、吉祥寺駅前東口交番だった。
「休憩時間であっても、110番通報があればすぐに駆けつけなければいけない。食事中も同様で、途中で食べるのをやめなければいけないし、いろいろ大変なこともありました。でも、交番の前を通る方が、“お疲れさま”と言ってくれたり、以前、関わった方から、“この前はありがとう”と声をかけられたりするのは嬉しかったです。大変ですけど、直接、声をかけてもらえる職業はあまりないですからね」
1年間の交番勤務を終え、次に配属されたのが、かつて大学紛争全盛期に「泣く子も黙る四機動」や「鬼の四機」と称された第四機動隊である。
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いや、「かつて」ではない。現在も警視庁ホームページには「鬼の四機」と大きく謳われている。
「第四機動隊では各国大使館や国会などの重要防護施設の警備に携わっています。これまで、即位の礼や2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会、あるいはG7広島サミットなどの警護に従事しました。大規模警備は本当に大変でしたけど、無事に仕事が終わった後は疲れなど吹き飛ぶほどの達成感があります」
自分の仕事を誇るように、大田は胸を張って答えた。
<前編とあわせてお読みください>
『道を拓く 元プロ野球選手の転職』(長谷川晶一著/扶桑社)