甲子園の風BACK NUMBER
「インスタで活動紹介をはじめて…」“部員9人”だった大阪の公立進学校が「秋大会ベスト16」で21世紀枠候補に…甲子園出場21回“古豪”の現在地
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沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2024/12/11 06:00

春夏あわせ21度の甲子園出場を誇る「大阪公立校の雄」市岡高校だが、近年は部員不足に悩み一時は9人まで減った。その苦境から府大会ベスト16まで復活できたワケは?
SNSを活用した「部活動紹介」も
今春、久しぶりに2桁の部員が入部したのは、今年から始めたSNSを活用した部活動の紹介で興味を持った中学生が増えたのかもしれないと指揮官は言う。
「今年からインスタグラムで活動を紹介するようになった影響はあると思います。でも、(野口監督就任前の08年から11年まで監督を務めた)青木(一規)部長が中学校訪問などもしてくださったので、それも大きいのかなと。SNSだけに(頼る)というのも少し違いますからね」と野口監督。大きな危機を乗り越えた今秋、チームは府大会ベスト16まで勝ち進み、大阪府の21世紀枠候補に選出された。
府大会4回戦では一昨秋の近畿大会に出場している箕面学園を9-4で破った。先制されるもすぐに追いつき、中盤以降は主導権を握ることができたと指揮官は頷く。
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「その時期は雨で試合が中止になって日程が延びたんですけれど、その分準備期間が増えたことと、徹底してきたことをしっかりやり切れたのが良かったです。
今のチームは、力はないですけれど守りからリズムを作って執念を持つというか、みんなで一生懸命、全力でやろうという粘り強さは持っていると思います。それは3年生が作ってくれたもの。2年生がそれを受け継いでくれているんです」
大正、昭和、平成と3元号で聖地を踏んだ“府立の雄”。前回の甲子園出場から来春でちょうど30年となり、周囲の期待も膨らむ。
「(府の21世紀枠候補に)選ばれたことで、生徒らにはやらないと、という意識が芽生えているようには感じます。そこからさらに自信が生まれているような気もします。これも今の3人の2年生、そして6人いた3年生が作ってくれた雰囲気のお陰です」
少ない部員が築き上げた新たな伝統が、何よりの強みになった秋。新時代を生き抜くためのノウハウも手に、その時を待つ。3本線の誇りと共に。
