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「前日は、なかなか寝付けなくて」侍ジャパンの最年少右腕・高橋宏斗がアメリカ戦で得た意外な収穫とは?「44歳のヒルさんのピッチングに…」
posted2024/11/30 11:05
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Nanae Suzuki
野球の国際大会「第3回WBSCプレミア12」は、台湾が日本を投打に圧倒し、トップチームとしては主要国際大会を初制覇した。1次リーグのオープニングラウンド、2次リーグのスーパーラウンドとも台湾を下していた侍ジャパンだったが決勝で敗れ、惜しくも大会連覇は逃した。
「あの光景は忘れません」
それでも8勝1敗は大いに評価されていい成績ではないだろうか。代表初選出の選手も多く、2年後のWBC、3年後のロサンゼルス五輪アジア予選に向けて、経験を積ませるという狙いもあった。そんな中「台湾が優勝した瞬間の光景は忘れません」と話したのは、中日の高橋宏斗だった。
22歳とチーム最年少ながら、昨年のWBCですでに世界一を経験済み。リリーフで米国との決勝戦にも登板し、マイク・トラウトらを打ち取った投球は、ファンの記憶に刻まれているはずだ。
今大会では本人が目指していた通り「先発投手」での代表入り。ところが強化試合のチェコ戦(バンテリンドーム)では3回で4安打、1失点と本番に不安を残す結果だった。そこから名古屋から台湾への空路移動を含む、シーズン中でも経験のない中5日での本番を迎える。
想定外の一発を浴び…
15日の1次リーグ韓国戦(台北ドーム)は、4回を投げ8三振を奪ったが、7安打、2失点。レギュラーシーズンでは戦後の最少記録を更新する被本塁打1だった右腕が、韓国の7番打者に左翼席まで運ばれた。
「打たれたのはカットボールだったんですが、その直前も同じカットボールでした。打者の頭にはないだろうと。(2ボール1ストライクだった)カウントを整えたいと思ったのですが、完全な棒球でした」
想定外の一発で追いつかれ、降板した。そこから再び中5日。1次リーグの後半は屋外球場で天候も悪く、復路移動からはZOZOマリンスタジアムに直行。かなり冷え込んだ中での調整を強いられた。