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「ミワはスタミナがあり、きつかった」張本美和の敗戦前、中国選手たちが行った“対策会議”…日本の16歳はなぜ“中国最大のライバル”になったか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2024/11/28 11:05
WTTファイナルズ福岡にてプレーする張本美和
一方で勝利したあとの王芸迪には、ほっとしたような表情があった。試合が決して容易なものではなかったことをうかがわせた。
両者の対戦成績はWTT福岡の前まで2勝2敗とイーブン。10月のアジア選手権団体決勝では張本が勝利している。さらに張本は決勝で世界ランキング1位の孫穎莎にも勝利。シングルス2試合での起用に込められた期待に応え、打倒中国を成し遂げて日本が50年ぶりの金メダルを獲得する原動力となった。
じつは孫穎莎が対策を手伝い…中国勢が敷いた“張本包囲網”
その決勝を終えたあと、孫穎莎は張本についてこのように話していた。
「美和はこの数年、全体的な実力も、試合を理解する力も大きく向上していると思います。美和はスタミナがあり、終盤は体力的に少しきつい感じがありました」
言葉に込められた張本への評価にとどまらず、中国では最強のライバルは張本であると認識されていることは、中国のメディアが伝えるところだ。
このWTTファイナルズ福岡では、張本との対戦を前に、初戦で敗れていた孫穎莎が王芸迪に対策を立てる手伝いをしたという。そこにも張本の実力への評価がうかがえる。
それらを考えてみれば、王芸迪のほっとしたような表情に込められた思いもさらに伝わってくるし、張本が悔しさを示したのも、地力の違いを感じつつ、でも届かないところにいるわけではないことを感じているからではなかったか。