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一度は競技引退も…結婚→出産→ラグビー転向を経て陸上・寺田明日香(34歳)はなぜ「全盛期の自分」を超えられた?「支えてくれる家族がいたので」
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph by(L)本人提供、(R)JMPA
posted2024/11/22 11:03
23歳で陸上競技引退→結婚・出産からラグビー挑戦を経ての陸上復帰。なぜ寺田明日香は「かつての自分」を超えることができたのか
寺田自身、出産の段階では競技復帰することは考えていなかった。だが、産後2年でラグビーを始めたことが、転じて陸上復帰のための“産後プログラム”になっていたという。
「結果的に、ラグビーで追い込んでいたのがよかったんでしょうね。陸上に復帰するという概念がなかったので固定観念にとらわれず、フィットネス系や有酸素トレーニングをガシガシやっていたのが身体の土台づくりにつながったのかなと」
「裏で支えてくれる家族がいたので」
そして何より、夫のサポートや娘の存在が非常に心強い支えとなっていた。
「私も頑張っているけれど、その裏で支えてくれる家族がいたので、他の子より頑張らなきゃいけないよなっていう思いはすごくありましたよね」
陸上に復帰して5年。寺田は今夏のパリ五輪を集大成として、2度目の現役生活を終えることも考えていた。ただ、「最後になるかも」と臨んだ日本選手権は3位で、代表入りは叶わなかった。
それ以降、進退の明言はしていなかったが、10月に東京世界選手権のアスリートアンバサダーに就任。開幕まで1年の記念イベントでは「このままフワッと辞めていくのは心残り」と語った。
「本当はパリまで……と思っていましたが、アンバサダーにも選んでいただきましたし、ここで辞めるより来年に向けて進んでいくのがいいのかなって。東京五輪は無観客だったので、家族に見てもらいたいという気持ちも大きいんです。
でも、今までみたいに世界陸上をガチガチに目指すというスタンスでは考えていません。陸上に復帰していろいろな方にお世話になったので『挨拶巡業』をしたいんですよ。今までなかなか出られなかった地方の大会にも参加して、中高、大学生と走る機会も作っていきたいなと思っています」
佐藤さんも、寺田の言葉にうなずく。
「日本選手権でも感じましたが、皆さんに慕われて、『寺田明日香っていい選手だったね』と思われながら辞めるのが一番素敵ですよね。それは娘にもちゃんと伝わるだろうし、彼女がやりたいところまで頑張るのをサポートするつもりです」
後押ししてくれる家族も力に、また“集大成”の1年が始まっていく。願わくはその姿をひとつでも多く、そして長く見届けたい。
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