- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「西武は名古屋に移転すべき」3年連続最下位の中日は“ライバル球団”が必要…江本孟紀がズバリ提案「(西武から)移籍を思いとどまる選手も出てくる」
text by
江本孟紀Takenori Emoto
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/21 17:02
今シーズン、最下位に沈んだ西武
たとえば仙台や大阪、あるいは北広島や福岡で3連戦が終わった翌日に所沢で試合がある場合を考えてみよう。飛行機が発着する羽田空港、新幹線が発着する東京駅や品川駅から所沢まで、たんに遠いだけでなく所要時間が読めないわけだ。これほど苦痛なことはない。
都内に住んでいる選手が、いったん自宅に帰ってからドームに向かうとする。時には、集合時間がある関係でそれすら許されない状況になる。そうなると休む間もなく試合に突入する悪循環に陥ってしまう。
主力の移籍も減るのでは?
こうなってしまったのも、パ・リーグの状況が昔と比べて大きく変わってしまったからだ。西武が球団を所有した1978年当時は、日本ハムが後楽園、ロッテが川崎、南海が大阪、近鉄が藤井寺、阪急が西宮と、東京近郊か大阪界隈に移動できればよかった。だからこそ「所沢は田舎だな」と思いつつも、移動がそれほど苦にならずに済んだ。
けれども1988年に阪急からオリックス、南海からダイエーに親会社が替わると、オリックスは神戸を本拠地に(当時)、ダイエーは福岡へと移転した。さらに1992年にロッテは川崎から千葉に移転し、2004年には日本ハムが札幌に移転。2005年からは、近鉄の後釜である楽天が本拠地を仙台にした。
つまり、西武球団が誕生してから26年の間に、5球団の本拠地がガラリと変わってしまったわけだ。これによって苦労を強いられているのは、ほかでもない選手たちである。
西武の主力選手は、FA権を行使して移籍するイメージが強い。事情は各々あるだろうが、私は「本拠地に向かうまでの移動が苦痛」というのが大きな理由ではないかと考えている。西武球団は、「一度すべての選手にヒアリングしたほうがいいのでは?」とさえ思えるのだが、「名古屋に移転する」となったら、「それなら西武でプレーしよう」と移籍を思いとどまる選手も出てくるのではないだろうか。
繰り返すが、1978年当時と今とでは状況がまったく違う。球団の上層部が本気で選手のことを考えているのであれば、いっそのこと本気で移転を考えてもいいのではないだろうか。
〈第1回「立浪和義の致命的ミス」編からつづく〉