田中　私、いままで付き合ったことが1度もないんです。あこがれはもちろんあるんですけど、「この人が好き！」ってなったら、ほかの人を見れなくなってしまうんですよ。中学生のころに好きな人はいたんですけど、高校が離れてしまって、それでも私はその人のことが好きで。プロレスに入るって決まったちょっと前くらいに、その人と話す機会があって、「特別だと思ってるよ」みたいなことを言われたんですよ。

――直接？

田中　電話で。でも、そのとき私はプロレスをがんばんなきゃいけなかったので、「ありがとう」って言って終わりですね。そこから、その人への気持ちもなくなって。相手は同級生で、中学のときはほんとに毎日一緒にいて。塾も送り迎えをしてくれる感じだったんですけど、親友とかぶってたんですよ、好きな人が。だから、その人のことが好きって言えなくて。

2024年7月、マリーゴールド初戦での田中きずな　©Essei Hara

父・田中稔は「チャラいやつだったらぶっ飛ばしてやる」

――今度は、親じゃなくて親友に心配をかけちゃいけないという思考になったんですね。

田中　親友も大切なので、そっちを応援したい気持ちのほうが大きくなってしまってた。10代のうちに彼氏が欲しいって思ってたんですけど、それは叶わなそうですね。いつかできたらいいなって思いますけど。

――初めてできた彼氏がプロレスラー。そんな可能性もありますか。

田中　どうですかね（苦笑）。でも、あこがれを持ってたりします。プロレスラー全員にリスペクトがありますし、尊敬できる人を見て自分もがんばれるのが素敵だなって思うので。お父さんとお母さんを見てると、あこがれの気持ちがあるので。

きずなが6歳の頃の家族写真　©本人提供

――娘がプロレスラーと交際したら、ご両親はどう思うんだろう。

田中　お母さんは、仲良くなろうとすると思う。「もし彼氏ができたら、ママは仲良くなりたい！」って、小さいときからずっと言ってるんで。パパは、「チャラいやつだったらぶっ飛ばしてやる」って（笑）。実際には私が年齢を重ねてきたので、そういう恋愛の話にもなるんですね。彼氏がいないことは家族全員が知ってるんですけど、パパとママの出会いとか恋愛の話を私が聞いてたのもあって、すごくいいなって思ってて。お父さんから、「パパとママが出会ったのは、ママがおまえと同じ年ぐらいのときだったよ」みたいな話をされたんですよ。

――すごくオープンな家族ですね。

田中　はい。いろんな話をするんですけど、「おまえのことを大事にしてくれる人だったら、俺はいいと思うけどね」みたいな。付き合ったことがないから、そこはあんまりわからないじゃないですか。で、「昔、チャラい人だったらぶっ飛ばすって言ってたの、覚えてる？」って聞いたら、「それは、いまだってそうだよ」って（笑）。たぶん、パパもママも仲良くしたいタイプだと思います。

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