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「パパとママの恋愛話を聞いて、いいなって」田中きずなの結婚願望に父・田中稔は「チャラい奴だったらぶっ飛ばす」娘が見た、プロレス夫婦の関係性
posted2024/11/22 11:22
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
L)Essei Hara、R)Takuya Sugiyama
今年1月12日、東京・新宿FACEでアルシオンが一夜限りで復活した。メインイベントで府川唯未さんが限定復帰。かつてのタッグパートナーで、現在は山口県在住でEGOISTプロレスの講師も務める大向美智子さん、岐阜県在住で3児の母である藤田愛さんとトリオを結成。6人タッグマッチながらも、フルタイムを闘い抜いた。そのメインをリング下から見つめていたのが、きずな。同じリングで試合もした娘は、闘う母に何を感じたか。
田中 あの日に観たお母さんは、いままで見てきたどんなときより幸せそうで、やっぱりプロレスが好きなんだなって思いました。そんなプロレスが、突然お母さんの前からなくなっちゃったわけじゃないですか(2001年、急性硬膜下血腫およびくも膜下出血を理由に現役引退)。「お母さんはもっとプロレスやりたかったな」とか、「やり残したことがいっぱいあるんだ」とか、小さいころにたくさん言われてたのを全部覚えてるので、当時のことをいろいろ思い出して。あの1日で感じ取ったものがたくさんあって、お母さんの思いとかを全部受け継ぐ覚悟ができたんですね。お母さんが言ってた「やり残したこと」っていうのを、私が全部やろうってあの日に決意したんですね。
――その決意は、お母さんに伝えましたか。
田中 そういう話はしました。たぶんお母さんより、私のほうがあの大会の余韻が抜けなかったんですよ。2週間くらい思い出して、1人で泣いちゃったりするくらいで。何回も「ママすごかったよ!」とか言って、「まだ言ってくれてるの?」みたいな感じで。夜に2人でそういう話になって、「私がママのやり残したこと全部やるからね」って話してましたね。
――お母さんは、なんと?
田中 「ありがとう」って言ってましたけど、「ママのことなんて背負わなくていいんだよ。自分のやりたいようにやればいいんだよ」みたいなことを言ってましたね。「せっかくプロレスラーになれたんだから、自分が好きなように」って。
ロッシー小川から「もう、お母さんを抜かしてるよ」
――そのアルシオンとマリーゴールドは、ロッシー小川さんが興した団体。母と娘が同じ代表の団体に身を置くなんて、ものすごいドラマティックだと思いませんか。
田中 そうですよね。最初は違う団体に入って、ずっとその団体にいるつもりだったので、こういうふうになるとは思っていなかったんですけど。いまはこの選択をしてほんとに良かったって心から思ってるし、お母さんの現役時代をいちばん知ってるのは小川さんだって思うので、その方のもとでプロレスができているのは、すごくうれしいなって思いますね。
――小川さんからは、どんなことを言われてますか。
田中 「もう、お母さんを抜かしてるよ」って(笑)。そんなことないですって思ってますけど。
――そこは謙虚なんだね(笑)。さて、12月で20歳になりますね。恋愛願望はありますか。