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パリ五輪「グッズ在庫セールに大行列」「五輪マークも飾りっぱなし」まさかの“五輪ロス”なパリを巡ってみたら…「セーヌ川はやっぱり汚かった」
text by
広岡裕児Yuji Hirooka
photograph byYuji Hirooka
posted2024/11/03 11:05
10月になっても五輪を懐かしむ雰囲気のエッフェル塔前
予算を守る。これが、パリで開催するうえでの至上命題だった。
東京五輪は無観客で開催された。つまり、チケット収入が消えた。そのぶんは公費で補填、つまり税金が使われるということになる。もしパリだったら、IOCのバッハ会長が何を言おうと、間違いなくそれが分かった時点で即中止だっただろう。
公費負担はいくらだったのか
2017年の立候補時の総予算は67億ユーロだったが、2022年12月に88億ユーロに修正された。招致の時から会計検査院が国の分に限らず全収支に関して監査をしているが、その中間報告で、この予算増はコロナによる遅れとインフレによるものとして容認された。
予算は運営を担当するオリンピック・パラリンピック組織委員会(COJOP)44億ユーロ、施設建設を担当するオリンピック施設建設公社(SOLIDEO)44億ユーロに分かれる。
COJOPの収入源は大部分がスポンサー、チケット、IOC拠出金で、公共資金は当初パラリンピック用の3%だけだったが最終的には5%となった。
SOLIDEOは23億ユーロが公共資金(うち国は14億ユーロ)で、残りは民間資金である。大会の後マンションとして売り出される選手村などのように、収入もある。また、今後の運営は、官民連携方式で民間や地方公共団体の第3セクターなどが行う。
つまり、国や地方公共団体が負担するのは、COJOP予算の5%とSOLIDEOの23億ユーロ、合わせて25億5000万ユーロ(1ユーロ170円として4335億円)である。
ただし、その他の費用もある。
オリ・パラの期間の公務員、警官・軍警官、電車・バスの運転手や駅職員、航空管制官などへの特別手当(一人当たり1000~1900ユーロ)、規制によって不利益を得た企業への補償、メダリストのボーナス(金メダル8万ユーロ、銀メダル4万ユーロ、銅メダル2万ユーロ)、セーヌ川をきれいにする費用(14億ユーロ)など。
いずれにしろ、遅くとも2025年10月1日までに会計検査院の報告書が国会に提出され、最終的な数字が明確になる。