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「このままじゃ…苦しむ」古賀紗理那が語る“女子バレーの課題”「考えて動ける選手が圧倒的に少ない」とは?「本気で日本代表を目指す子のために」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byKoichiro Matsui

posted2024/10/25 17:03

「このままじゃ…苦しむ」古賀紗理那が語る“女子バレーの課題”「考えて動ける選手が圧倒的に少ない」とは?「本気で日本代表を目指す子のために」<Number Web> photograph by Koichiro Matsui

選手目線で女子バレー界が抱える課題を口にした古賀紗理那(28歳)。辛らつな言葉が並ぶが、そのウラにある真意とは?

 古賀は東京五輪からパリ五輪までの3年間を「一番成長できた」と振り返る。実際にVリーグや皇后杯の決勝、ここぞという場面での決定力や勝負強さは群を抜いていた。それは、食生活を含めた日々の生活から身体作りを徹底し、より高く跳ぶ、速く動くためのトレーニングに取り組んできた成果に他ならない。

 ただ、「楽でした」と語った真意を続ける。

「私に対してどういう対策で臨んでいるか、すぐわかるんです。だから、私はその逆に打つ。それでバンバン得点を決められたら、普通は試合の中で対策するけど、最初から最後まで『古賀に対してはここを締めて、ここで守る』と決められた通りにしか動かない。自分で考えられないし、指示待ちの選手が多いからVリーグでは楽に決められる、って思っていました」

ブロックで光る古賀の“判断力”

 考えているか、考えていないか。最もその差が顕著に出るのが「ブロック」だと古賀は言う。確かに日本のアウトサイドヒッターの中で古賀はブロック力もダントツだった。「勘で跳んだ」と話すのを何度も聞いたが、勘の裏には飽きるほどに見た映像と、目の前で相手がどう動いているかを判断する力があった。

「データや傾向だけじゃなく、試合中に相手の跳び方や助走の入り方を見れば、だいたいどこへ打ってくるかわかる。むしろ、そこでこっちへ打つと見せかけて逆を突いたり、お互いが『私はこうするけどどうする?』と考えながらぶつかる、その駆け引きがバレーボールの楽しさだと思うんです。相手を見て動けているか、考えてプレーしているかというのは、ブロックの位置取りができるか、できないか。そこを見るだけでもわかると思います」

 考えてプレーすることで、新たな楽しみを見出す。そう話す古賀も最初からそうだったのか、と言われれば決してそうではない。自身も「NECに入った頃や日本代表に選ばれるようになった後も指示されるままに動くだけだった」と振り返る。

 では、何が古賀を変えたのか。転機は日本代表で主将を務めてからだと言う。

 きっかけは、かつて日本代表の主将も務めた木村沙織の存在だった。

【次ページ】 「10代の頃から今の考え方ができたら…」

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