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大谷翔平「51-51」「6安打3本塁打10打点2盗塁」だけでない衝撃の1日…松井秀喜超えにドジャース新記録、“実は惜しかった”2度目の快挙って? 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/09/20 18:40

大谷翔平「51-51」「6安打3本塁打10打点2盗塁」だけでない衝撃の1日…松井秀喜超えにドジャース新記録、“実は惜しかった”2度目の快挙って?<Number Web> photograph by AP/AFLO

「51-51」達成の大谷翔平。1試合を通じて叩き出した驚愕の成績は、様々な大記録を成し遂げた夜ともなった

〈4打席目 6回表 1死二塁 相手投手:ジョージ・ソリアーノ〉

 カウント1ボールから137.4キロの内角低めのスライダーをすくい上げて右翼上段へ。打球速度179.0キロ、打球角度36度、133.5mも飛んだ特大の2ランとなった。

 これで「49-51」として、ついに「50-50」に王手がかかった。

〈5打席目 8回表 2死三塁 相手投手:バウマン〉

 もしこれが競った展開であったら、大谷はこの状況で申告敬遠される可能性があった。しかし、大谷が打席に立った時点で11-3と大差がついていた。そこでバウマンは大谷と勝負する。

 1-2からの4球目、143.4キロ、外角ストライクゾーンに入ってくるナックルカーブを大谷は左翼席に運ぶ。バウマンは打たれた瞬間頭を抱えた。打球速度176.5キロ、飛距離119.2メートル、打球角度27度。これでついに「50-50」を達成するとともに、2打点を積み上げる。

 そして、ここで終わらないのがこの日の大谷だった。

〈6打席目 9回表 2死一二塁〉

 マーリンズは26歳の内野手、ドミニカ共和国出身のブルハーンをマウンドに上げる。すでに14-3となり、投手を節約するためにブルハーンを起用したのだ。ブルハーンは8月24日にもマウンドに上がったことがある。

 しかし、大谷を前にストライクが入らない。118.8キロ、118.9キロの山なりの球が外側に外れた後の3球目、これも高すぎると見えた109.9キロの棒球を、大谷は打撃練習よろしく打ち上げた。打球速度182.8キロ、134.1メートルという超特大の一発で、この日のうちに51-51を達成した。

 このマーリンズ戦の成績を再び記す。

 6打数6安打3本塁打2二塁打10打点、2盗塁。

 試合前まで打率.287、OPS.978だったのが、たった1試合で打率.294、OPS1.005まで跳ね上がった。

「51-51」以外にも特筆すべき記録だらけ

 ここからは「51-51」達成で埋もれがちになっている――この試合で大谷が残した特筆すべき記録の数々を紹介しよう。

 打点は110打点から120打点に積み重ねた。これで松井秀喜が2005年に記録した日本人メジャーリーガー最多の116打点を一気に抜き去り、120打点はブルワーズのアダメズと11点差になった。残り試合を考えれば、本塁打、打点の二冠はこれで当確だろう。

 そして51本塁打となった大谷は、リーグは違うがヤンキースのアーロン・ジャッジにも本塁打数で「2本差」と迫った。なおこれまでのドジャースのシーズン最多本塁打はショーン・グリーンが01年に達成した49本塁打。この日の3打席連発でこちらも更新した。

【次ページ】 まだまだある“とんでもない大記録の数々”

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