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「井上尚弥に判定で勝つのは無理」「あの下半身はすごすぎでしょ」長谷川穂積の視点…「計量から12kg増」ドヘニーの“超リカバリー”の影響は?

posted2024/09/02 11:06

 
「井上尚弥に判定で勝つのは無理」「あの下半身はすごすぎでしょ」長谷川穂積の視点…「計量から12kg増」ドヘニーの“超リカバリー”の影響は?<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

8月31日の記者会見で笑顔を見せる井上尚弥。「彼くらいになるとライバルは自分自身」と長谷川穂積さんは語る

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Yamaguchi

井上尚弥(大橋)のスーパーバンタム級4団体統一戦が目前に迫ってきた。5月に4万人超の観衆を集めた東京ドームでのビッグマッチを終え、9月3日には東京・有明アリーナで元世界王者、TJ・ドヘニー(アイルランド)と拳を交えることになった。井上の圧倒的有利が伝えられるが、本当に死角はないのか。また、どこを見れば試合をより楽しむことができるのか。元3階級制覇王者の長谷川穂積さんが試合の行方を分析した。(全2回の2回目/前編へ)

長谷川穂積の視点「井上選手に判定で勝つのは無理」

 長谷川さんの話を総合すれば、挑戦者のドヘニーはパンチ力、意外性、メンタルの強さ、モチベーションの高さという好材料を備えている。では、あの井上をどのように攻略すればいいのか。言うまでもなく、それはとてつもなく難しいミッションだ。長谷川さんは次のように見立てた。

「ドヘニーは37歳という年齢を考えても前半が勝負になると思います。試合が進めば進むほど、集中力だったり、スタミナだったり、引き出しの多さだったりという差が出てくる。そうなるとドヘニーに勝ち目はない。見どころは最初の3ラウンドです。ここでドヘニーがしっかりアクションを起こして攻撃ができるか。井上選手に『いつもと違うぞ』と思わせることができるか。やっぱり最初の3ラウンド、長くでも4ラウンドまでが勝負だと思います」

 最初に仕掛け、井上を少しでも下がらせ、自慢の強打を叩き込む。ドヘニーにはパンチのパワーと意外性がある。そこにかけるというわけだ。

「繰り返しますけど、後半までいったらチャンスはどんどんなくなる。井上選手に判定で勝つのは無理だと思います。だから序盤にあの意外性のあるパンチを炸裂させたい。ジャフェスリー・ラミドを倒した左のようなパンチです。井上選手の場合はビデオを見て研究して、『ここが穴だからそこを突いていこう』という相手ではありません。だから自分のキャリアを信じて、腹を決めて勝負にいくしかない」

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