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「井上尚弥の圧倒的有利」下馬評は真実か?「パンチ力はネリより上」長谷川穂積が語る“37歳ドヘニーの怖さ”「失うものがない。不気味ですね」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2024/09/02 11:05

「井上尚弥の圧倒的有利」下馬評は真実か?「パンチ力はネリより上」長谷川穂積が語る“37歳ドヘニーの怖さ”「失うものがない。不気味ですね」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥に挑戦するTJ・ドヘニー。長谷川穂積さんは「下馬評より難しい相手であることは間違いない」と分析する

「パンチに“思い”が乗る選手は怖い」

 そしてキャリア終盤に井上尚弥という大魚との試合を手にしたという事実が、ドヘニーにこれ以上ないパワーを与えるという。

「ドヘニーはこれがラストチャンス。そこで最強のチャンピオンに挑戦できるわけですから、モチベーションは最高ですし、最高のコンディションでリングに上がると思います。失うものもない。余計なことは一切考えず、全身全霊で井上選手を倒しにいく。この強みは間違いなくあります。パンチに“思い”が乗る選手は怖いですから。そこが不気味ですね」

 ドヘニーはこの試合に向け、家族と住むオーストラリアを離れ、米ボストンで単身トレーニングを積んだ。ドヘニーのプロモーターであるマイク・アルタムラ氏は7月に開かれた記者会見で「ただの世界王者経験者とレジェンドに昇華する選手では雲泥の差。それだけ大事な試合だ。ドヘニーには『勝てばいずれ映画になるだろう』と話している」とこの試合にかける“ザ・パワー”の思いを代弁した。

 来日したドヘニーは静かにこう述べた。

「井上をおとしめるようなことは言いたくない。この試合に見合った練習をしてきた」

 長谷川さんが「腹が据わっている」とも評したドヘニー。心身ともに史上最大の番狂わせを起こすだけの準備はしてきたという自負を感じさせる。ではいったい、有明アリーナではどんなファイトが繰り広げられるのだろうか。

<続く>

#2に続く
「井上尚弥に判定で勝つのは無理」「あの下半身はすごすぎでしょ」長谷川穂積の視点…「計量から12kg増」ドヘニーの“超リカバリー”の影響は?

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