「リーダーはいない」発言の真意

　組み始めてすぐの頃、キッドは「このチームにリーダーはいない」と言っていた。

「それぞれがライバルなんだから、誰が引っ張るとかまとめるとかじゃないでしょう」

　リーダーを決める必要が出てきたら、その時に決めればいい。「直接、闘って決めてもいいんだし」とキッド。ユニット正式結成直後の8月10日からシングルリーグ戦「5★STAR GP」が始まったのも、個々の力を伸ばすためにはよかったと捉えている。

　結果として優勝は逃したものの、ユニットのメンバー全員がリーグ戦にエントリー。天咲は出場者決定戦を勝ち上がった。さらにキッド、AZMの2人が決勝トーナメント（ベスト8）に進出している。

新ユニットでは全身ブルーの真新しいコスチュームでリングに　©Essei Hara

　キッドは準々決勝で上谷沙弥に敗れた。キッドにとって上谷は「一番負けたくない相手」。これまで何度も行く手を阻まれ、タイトルマッチで負けて大号泣したこともある。

「だけど今日は泣かない」と試合後のキッドは言った。

「悔しいけど、でもこの5★STARでシングルプレイヤーとしての強さを磨くことができたから」

　おそらく、NEO GENESISのメンバー全員がそれぞれに強さを磨いたリーグ戦だった。その上で、ここからまたユニットとしての力を高める闘いが始まる。

「今ユニットとしてやりたいのは、メンバー全員がベルトを巻いた状態で集合写真を撮ることですね」

恒例のリーグ戦では決勝トーナメント進出を果たした　©Essei Hara

ユニットの定石を覆すNEO GENESISの戦略

　現状、キッドがアメリカの団体SPARKのシングル王座、星来がハイスピード王座を保持している。キッドとしては、天咲にデビュー3年までが保持条件となるフューチャー王座を獲得してほしいという。

「光由は来年3月でデビュー3年。それまでに狙ってほしい。光由の実力が他のメンバーに追いついてきたら、こんなに心強いことはないし。これまではAZMについて頑張ってきたけど、NEO GENESISでは全員で光由を引き上げていきたい。ユニットが変わることで頑張る気持ちが強くなるってこともあるはず。それも含めて光由を誘ったので。QQでは“お姉さん”たちに囲まれてたけど、今回は同世代の集団。そこで生まれる闘争心もあると思う」

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