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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「AZMと天咲にも急がせるつもりはなかった」スターライト・キッドが明かす“新ユニットNEO GENESIS結成”への思い《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2024/08/30 11:03
新ユニット『NEO GENESIS』を結成し、キャリア第3章をスタートさせたスターライト・キッド
「AZMと光由にも急がせるつもりはなかった」
キッドが動いたのは6月22日の代々木大会だった。この日、人気ユニットQueen's Quest(QQ)が大江戸隊との対抗戦に敗れ、上谷沙弥以外のメンバーが強制脱退。号泣する面々の前に姿を現したキッドは、AZMと天咲光由にユニット結成を持ちかけた。その場で一緒だったのは、やはり無所属だった鈴季すずと星来芽依。
5人は翌週、6.29後楽園ホール大会から行動をともにする。キッド、AZM、星来、天咲の4人でチームを結成。すずはケガで欠場していたがセコンドについた。新人時代から競い合い、認め合ってきたキッドとAZMが並んだ光景も含め、圧倒的に新鮮で魅力的なチームアップだった。
ただ、この時点ではユニットとしての正式な始動ではなかった。キッド自身にとっては、ここからが第3章のスタートという意識があった。とはいえ大江戸隊を追放された直後のキッドと同じく、QQを失ったAZMと天咲もすぐには気持ちを切り替えられなかったのだ。キッドは天咲とあらためてシングルで闘い、お互いの気持ちを確かめ合う。新ユニット結成を急いだり無理強いするつもりはなかった。
「そもそも私が2カ月も無所属でやってきたので。AZMと光由にも急がせるつもりはなかったですね。私が2カ月かけたように、時間をかけて考えてくれればよかった。何事も焦りは禁物なんです。去年の5★STAR GP(夏のシングルリーグ戦)をケガで途中欠場することになったのも、結果を出さなきゃと焦ったせいだった」
特に気にしていたのは、AZMの思い
時間をかけて作っていったほうが気持ちも入るんですよとキッドは言う。ユニットを正式に結成する前から試合で組んできたから、手応えも充分にあった。それに何より「時間をかけてでも、この5人でユニットを組みたかった」。
新ユニット結成を決意するまで時間がかかったのは、QQと大江戸隊の抗争を見守っていたからでもあった。キッドが特に気にしていたのはAZMだ。
AZMのことはデビュー当時からずっと意識してきた。AZMに勝つために身につけた新技にはエターナル・フォー(永遠の敵)という名前をつけている。
「QQの中でのAZMは、自分の意見を抑えてきたところがあると思う。悪い意味で頑張ってるというか、プロレスを楽しめてるのかなって」
そんなAZMと、6月15日の多団体オールスター戦『ALL TOGETHER』でシングルマッチを行った。
「スターダム内での対戦よりもワンランク上のステージで試合ができたのが嬉しかったし、試合後のAZMが“キッドと試合できて楽しかった”と言ってたんですよ。そこにいろいろ感じるものがあって、QQがどうなるか見届けようと」