球場では涙はしまい込んでいたが、宿舎でのミーティングで主将の福留希空が言った「この仲間と明日から一緒に練習ができないのが寂しい」という言葉が今朝丸の心に刺さり、熱いものが一気にこみ上げてきたという。

「仲間がいて、今の自分がいるので。その中で日本一を取れなかったという部分では申し訳ないという気持ちは強いです」

　大社の躍進を含め、以降の甲子園の試合は自身の練習などもありほとんど見ることはなかった。だが、敗戦から数日が経ち、ようやく甲子園の試合を自宅で見返してみた。その中で気づいたことがあった。

「フォームがバラバラでした。（打たれた県大会初戦の）舞子戦のようでした。県大会が終わってから、甲子園に向けてシャドウピッチングは結構やってきたんですけれど、もっとしっかりフォームを見直しておけば良かったのかなと。

　センバツは厳しいブロックを勝ち上がることはできましたけれど、春の勝ちと夏の勝ちは違うと感じました。夏はどのチームも打線が仕上がっていますし、春は抑えられても夏はそうはいかないところもありました」

次の舞台は「高校日本代表」

　相手の力を認めつつも、自身の調整の難しさも漏らした。

　だが、今は溌溂とした表情でこう決意している。

「日本代表でやり返す、という訳ではないですけど、ちゃんと自分を出し切って終わりたいというのはあります。この反省があったから、と思えるような結果を残したいですし、自分のピッチングをして高校野球は終わりたいです」

　日本一を争う高校野球は終わったが、高校日本代表としてのマウンドが今朝丸の闘志をぶつける舞台となる。

　旋風の陰で、不完全燃焼に終わった夏を胸に刻み、今朝丸は再び腕を振る。

　このままでは終われない――。グラウンドを後にする188cmの背中がそう言っているようだった。