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悔しい敗戦も「楽しい大会」…“驚異の16歳”張本美和が早田ひな、平野美宇、そして兄に支えられて見据えた、中国との激闘の「4年後」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2024/08/12 17:02
卓球女子団体戦決勝戦、張本美和は第3試合シングルスに敗れて初の五輪を終えるも「楽しい大会でした」
3年前の東京五輪はテレビの画面越しに応援していた。次は自分が出られる舞台だと思うこともなく、一心に応援していたという。その後、国際大会に本格的に出場するようになり、この1年あまりは急角度で成長を遂げた。
中国勢も次代の脅威と警戒
166cmの身長から繰り出されるフォア、バック、双方のドライブの威力を武器に、昨年9月にはアジア大会ダブルス準々決勝で、2019、2021年世界選手権連覇の孫穎莎・王曼昱ペアから金星をあげた。
今年2月の世界選手権団体戦決勝では、東京、パリ五輪金メダリストの陳夢に1-3だったものの拮抗した勝負を繰り広げ、4月の国際大会では世界ランク3位の王藝迪を破る。中国でも、次代の星、中国にとって今後の大きな脅威、と警戒されるまでになった。世界ランキングも7位にまで上昇してきた。
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そうして迎えたパリ五輪では、悔しくも充実した時間を過ごせた。
「(満足度は)100です。目指していた金メダルは獲ることができなくてほんとうに悔しいですけど、自分のいちばんの目標、最後まであきらめずにプレーすることを達成できて、すごい楽しい大会になった」
そして先を見据える。
「4年後のロサンゼルスオリンピックでは金メダルが欲しいです」
悔しさから学べることがあれば、手ごたえを得て学べることもある。
先輩たち、兄の支えとともに挑んだ16歳の夏、それはこれからに続く貴重な日々だった。