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「日本選手に感動したわ」パリ五輪スタッフが絶賛、敏腕通訳は涙…あの“論破王”もアツくなった日本フェンシング「なぜ現地で感動を呼んだ?」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/07 11:30
パリ五輪で銅メダルを獲得したフェンシング女子フルーレ団体の日本代表。左から宮脇花綸、上野優佳、菊池小巻、東晟良
「それってあなたの感想ですよね?」とは口にせず
3位決定戦についても「4点差がついていても、一気にチェコがフランスを逆転するなど、弱いヤツがいるとバンバン点を取られてしまうんですよね」と試合展開の面白さを語る。世間の出来事をパソコンの前で論じている印象が強いが、優勝決定戦となった2021年シーズンのF1最終戦アブダビGPを現地で観戦するなどスポーツに関しては意外とアクティブ。1チーム3人(リザーブ除く)が3分の対戦を合計9回行い、互いに点を取り合うフェンシングの団体戦の特性について、こう分析した。
「柔道(の団体戦)とかだと1人取られてもマイナス1というだけです。ただフェンシングの場合は、何点でも取られるし、負けた人が『あれ俺のせいだ』と思うわけですよね。それキツイなーと」
現地観戦したからこそ、脱力感のあるコメントの中にも選手の気持ちへの共感が読み取れた。合理的な印象のあるひろゆきが、感情論を語っていることに驚く。フェンシングの面白さについて記者の感想も交えて問うと、「それってあなたの感想ですよね?」と否定することなく頷いていた。
すべての色のメダルを手にし、本場パリで花開いた日本のフェンシング。メダルを獲得した選手は口を揃えて「フェンシングがより知られてほしい、普及してほしい」という思いを語っていた。競技の面白さは現地で見た人に確実に届いたはずだ。さらなる発展の萌芽が、感情を揺さぶられた3人の反応から読み取れた気がした。