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「うおぉぉ」「やべぇぇ」スケボー堀米雄斗、伝説の瞬間…現地の日本人記者も絶叫していた「ホリゴメの脳ミソはヤバいだろ?」海外記者も大興奮のパリ 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2024/07/30 18:22

「うおぉぉ」「やべぇぇ」スケボー堀米雄斗、伝説の瞬間…現地の日本人記者も絶叫していた「ホリゴメの脳ミソはヤバいだろ?」海外記者も大興奮のパリ<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

スケボー堀米雄斗の奇跡的な大逆転。本人も演技直後、興奮した表情を見せた

 ランとベストトリックの間の練習時間になると、多くの観客が選手たちではなくスタンド側にスマホを構えて写真を撮っていた。誰かVIPが来ているのだろうか。近づいてもよく見えないのでお客さんに聞いてみると「スヌープ・ドッグが来てるんだよ」と教えてくれた。確かにスヌープ・ドッグが聖火リレー最終日に聖火ランナーを務めたというニュースは目にしていた。大御所ラッパーの登場でなんだかますます強まるU.S.A.ムード――。

わずかな隙間時間で何度も練習していた

 ベストトリック1本目、ますます試合はヒートアップしていく。なんと8人中6人が90点台のハイスコアを出したのだ。スタイルと難易度の応酬。堀米は「ノーリー180スイッチ5―0グラインド」で、その中で最高得点の94.16をマークし、3位に浮上したが、ライバルたちの滑りに考え方を切り替えたと試合後に明かしている。

「メダルを確定したいと思って狙ってはいたんですけど、1本目が終わってみんなどんどん技に乗っていって、高得点を出していって、これはもうメダルを狙うってよりは自分のできる限りの限界のトリックを出さないと勝てないなと思いました」

 そこで堀米が選んだのが「ノーリー270ブラントスライド」だった。6月にブダペストで行われた代表選考レース最終戦で優勝を決め、パリ行きの切符をもたらしてくれたトリックだ。しかし、その大技がなかなか決まらない。失敗するたびに少しずつ足元に収まるようになってきてはいるのだが、3回連続で失敗してあとがなくなった。

 その間にナイジャとイートンが競い合うようにスコアを伸ばしてワンツー態勢を整えていく。堀米と同じように連続で失敗していた白井は4本目を決めて3位に再浮上したが、堀米は最後の5本目を迎える段階で7位にまで後退していた。この時点でトップのイートンまでは96.98。メダル圏内まででも94.06と離れていた。そう簡単に出る点数ではなかった。

 各選手が最後の試技を進めていく。カナダのコルダノ・ラッセルはレッジを下から上へ駆け上がる独特なトリックを見せた。最初は失敗。しかし、助走スピードをさらにつけて2度目に成功させた。そして、パーク中央で板を掲げて堂々と大声援を浴びた。

 2度目というのは、本来はおかしい。もちろん競技記録に残るのは最初の失敗の方だから0点。しかし、ラッセルはお構いなしにもう1回トライしたのだ。

【次ページ】 あの瞬間、記者もみんな絶叫していた

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