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「大丈夫、いつか終わる」大病から5年…池江璃花子が明かす“闘病からの復活”「一人で昔の映像を見て、涙が止まらなくなったことも…」 

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池江璃花子

池江璃花子Rikako Ikee

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photograph byAsami Enomoto

posted2024/07/27 11:03

「大丈夫、いつか終わる」大病から5年…池江璃花子が明かす“闘病からの復活”「一人で昔の映像を見て、涙が止まらなくなったことも…」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

白血病の公表から5年ーー再びプールに戻るまでの過程を綴った著書『もう一度、泳ぐ。』を刊行した池江璃花子

 病院の先生からは、免疫力などの細かい数値をすべてクリアしないとプールに入っちゃダメとか、水に顔をつけちゃダメとか、ずっと言われていました。筋肉もなかなか戻らないので、もどかしい日々を過ごしました。だからやっとプール入っていいよと言われた時は、ものすごく嬉しかった。でも一方で、もうちょっと休んでもいいかなと思っちゃう自分もいたのが、正直なところでした。

 今年3月17日、406日ぶりにいざプールに入ると、言葉に表せないくらいの嬉しさがあって、感情がこみ上げてきたんです。見に来ていた家族や周りの人が涙を流して、グッとこらえているのを見て、私が泳ぐのをずっと待っていてくれたのだなという実感が湧きました。だけど、自分が泣いているわけにはいかないなと思って、我慢していました。

 嬉しい気持ちと、もう少し休んでもいいのではと思う自分ーー。自分の本心と、でも本心とは別の本心みたいなものもあって、両方の本心で上手く自分が成り立っているのかもしれません。この時は、ポジティブな方の心が、辛い心を包んでくれて、感じないようにしてくれていたのだと思います。

泳げている環境に感謝

 今は何か具体的なレベルを目指すというよりも、まずは泳げている環境に感謝しています。退院してからしばらくは、免疫力が低いから友達にもあまり会わないようにしていて、そろそろいいかなというタイミングでコロナ問題が起きて、友達にも会えなくなりました。病院にいた時から日常を奪われていたのに、日常生活に戻ってからも、またその日常生活が奪われてしまいました。だから今は、こうして友達と会えて、プールで練習ができて、また強くなっていける自分がいるという状況を、すごく大切にしています。

 普通に生活していること、自分で買い物に行ったり、好きな映画を見たり、やりたいことをやるということ。そういう日常が本当に今の一番の幸せです。練習はきついですが、病気の時のしんどさに比べたら全然きつくはないでしょ、って自分に言い聞かせています。自分にしか分からないことなので人と共有することはないけど、自分がきつくなった時は、こういう経験をしたから、次また乗り越えられると思ってトレーニングをしています。

 それと、病気の人の気持ちも、アスリートの気持ちも分かるようになったと感じています。こうやって私のように普通に元気に暮らしているように見えても、持病を持っていたり、辛い思いをしている人もいます。若くて、元気に見えても、そういう人もいるんだよというのを感じてもらいたいです。

周りに言えない辛いことを日記に書いていた

 私は病気になる前は、毎年1月に手帳に、その年の試合日程と目標タイムを書いていました。日記を埋めるということが好きなんです。予定がどんどん増えていくのが、すごく嬉しい。暇なのがあまり好きじゃなくて、忙しいのが好きなタイプなんです。だから水泳の記録を手帳に書く時も、目標としていたタイムを切れた時にどうだったかなどを書いていました。例えば日本選手権でどんなタイムを出すと決めて、結果はどうだったのか。それを書いて、次の課題を考えます。どこを意識して、どのタイムを狙っていくのか。

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