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バスケ代表・川真田紘也(26歳)落選の衝撃…“愛されマイキー”代表漏れの厳しいワケは? 八村塁との絡みは「めっっちゃ、勇気がいりました」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2024/07/09 18:00
パリ五輪のバスケ日本代表12人から漏れた川真田。チームのムードメーカーでもあっただけに、ファンも肩を落とした
代表初招集時の川真田の様子は、なんとも興味深い。
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2022年、最初に日本代表候補の合宿に呼んだ時、彼は子どものようでした。練習前、バスケットシューズの靴ひもを結んでいませんでした。集中力がなく、ボディランゲージはとても悪かった。(中略)私はキャンプの後、川真田選手と話しました。だいたい普通なら5分くらいでミーティングは終わるのですが、この時は30分近く話しました。私は「あなたは時間を無駄にしている。バスケットボールだけではない。今のままだと、あなたの人生を無駄にしてしまいます。(恵まれた体格を含めた)持っているものすべてを無駄にすることになります」ときつい言葉を投げかけました。
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なお、そこから川真田は当時所属していた滋賀レイクスの選手、コーチ陣の協力も得ながら変わっていった。W杯イヤーとなった2023年の2月の代表合宿では別人のようになっていたという。
漫画ばりの急成長を見せた川真田
7月7日の韓国戦の後、当時の様子について川真田本人にたずねると、こんな答えが返ってきた。
「僕もよくトムさんに怒られていたので(笑)。まぁ今も怒られていますけどね。本当に代表では自分のチームとは違う環境で、すごい選手ばかりですごいスタッフ陣がいるという環境で。自分個人としても、どんどん成長できている実感があるので。トムさんに『成長したぞ』というところを見せられたらいいのかなと思っています」
川真田はその風貌やW杯時の赤く染めた髪から漫画『SLAM DUNK』の主人公・桜木花道にたとえられることもある。だが、容姿よりもその成長ストーリーのほうが桜木に似ているとも言える選手なのだ。
もちろん、彼がゴール下で身体を張るプレーでチームに貢献してきているのは言うまでもないだろう。相手チームの選手を背中で抑え込んで、味方がドライブするコースを開ける。ルーズボールにダイブする。ゴール下でボールを持ったら、全てダンクに行こうとするかのような迫力でリングに向かって飛び、最低でもファウルをもらってくる。労をいとわず、身体の接触を怖がらず、チームメイトも一目置く存在だった。
何より、日本代表が「チームとして」成長していくうえでも重要な役割を果たしていた。