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“左打者=バースの幻影”がいまだに? ここ20年の通算成績だと「外国人は右打ちに限る説」ラミレスにマートン、サンタナやヘルナンデスも 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKazuhito Yamada

posted2024/07/09 11:02

“左打者=バースの幻影”がいまだに? ここ20年の通算成績だと「外国人は右打ちに限る説」ラミレスにマートン、サンタナやヘルナンデスも<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

プロ野球史上最強外国人打者の呼び声高いランディ・バース。左打ちの大スラッガーだが、近年の外国人打者の成績を見てみると……。

〈安打数〉
ラミレス(2001~13)1526安打
フェルナンデス(2003~13)1141安打
マートン(2010~15)1020安打
ビシエド(2016~)1003安打
ロペス(2013~20)、バレンティン(2011~21)1001安打

〈本塁打数〉
バレンティン(2011~21)301本
ラミレス(2004~13)287本
レアード(2015~22)213本
カブレラ(2001~12)203本
ロペス(2013~20)198本

〈打点〉
ラミレス(2004~13)968点
バレンティン(2011~21)794点
フェルナンデス(2003~13)672点
カブレラ(2004~12)598点
レアード(2015~22)596点

〈打率〉※2000打席以上
マートン(2010~15).310
ラミレス(2004~13).300
カブレラ(2004~12).299
ウッズ(2003~08).291
ラロッカ(2004~10).290

 なじみのある名前が並んでいる。

 優秀な成績を残した外国人選手は、日本野球や文化をよく理解し、リスペクトある言葉を残したから、日本人にも好印象を残している。その代表格であるアレックス・ラミレスは外国人打者として初めて2000本安打を記録し、2023年には野球殿堂入りしている。

上位は右打者ばかり…左打ちだと誰がいた?

 そして、この成績上位に名前が出た外国人打者は全員、右打者なのだ。長距離打者も、アベレージヒッターもすべて右打ちだった。

 ここ20年、左打ちの外国人選手での最多安打は両打ちのフェルナンド・セギノール(2004~10)の667安打、純粋な左打ちではクレイグ・ブラゼル(2008~14)の613安打、本塁打はタフィ・ローズ(2004~09)の176本、打点もローズの445点、打率はセギノールの.281(またはローズの.280)になる。そしてセギノール、ローズ、ブラゼルはみな10年以上前に引退している。

 少なくともここ10年に限定すれば、左の外国人打者で、成功した選手は少ない。昨年、26本で本塁打王になったロッテのグレゴリー・ポランコが数少ない例だが、長期的に活躍した打者はほぼいない。

「そもそも日本でも外国でも右打ちの選手が多いのだから、右打ちの選手が上位に来るのは当然だろう」

 という人もいるかもしれない。ただ、NPBの通算安打数1位は張本勲。最多本塁打、打点は王貞治。最高打率はレロン・リー、2位は若松勉、3位は張本。彼ら全員が左打者である。またNPBからMLBに移籍して実績を残している打者もイチロー、松井秀喜、大谷翔平とほとんどが左打者。右打ちではカブスの鈴木誠也がいる程度だ。

なぜ左打ちの外国人選手が活躍できないのか

 一般的に、左打者は右投手に対して強いとされる。野球界は右投手の方が圧倒的に多いから、左打者は右打者より有利なはずという理屈があって、実際にもMLBでもNPBでも左打者の活躍が目立っている。

 ではなぜ、NPBでは左打ちの外国人選手が活躍できないのか。

【次ページ】 “バースの幻影”がいまだに残っている?

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