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田中希実「圧勝劇」の裏側で…次世代エース候補たちの明暗 ドルーリー朱瑛里(16歳)と澤田結弥(18歳)2人の“10代ランナー”が向かう先 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/06/29 17:02

田中希実「圧勝劇」の裏側で…次世代エース候補たちの明暗 ドルーリー朱瑛里(16歳)と澤田結弥(18歳)2人の“10代ランナー”が向かう先<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

今回の日本選手権で7位に入ったドルーリー朱瑛里(左)と、予選落ちに終わった澤田結弥。明暗分かれた10代ランナーの2人だが、今後の躍進に期待だ

 大舞台で実力を発揮したドルーリーの一方で、不完全燃焼に終わったのが澤田結弥(浜松市立高→静岡陸協)だった。

 澤田は女子1500mで高校歴代2位の記録を持ち、2022年のU-20世界選手権でも1500mで6位入賞という結果を残している。日本選手権にも昨年、一昨年と高校生ながら2度出場し、いずれも決勝まで進出していた(両大会とも10位)。

2年連続決勝進出も…まさかの予選落ちに

 そんな経験値もあっただけに、今大会でまさかの予選落ちに終わると、ミックスゾーンでは大粒の涙を流した。

「自信を持ってスタートはできたんですけど、ラストがキツくて粘り切れませんでした。抜かれていくうちに、自分の気持ち的にも弱くなってしまって。2週間前くらいに一度、貧血になったんですが、ここ最近は調子も上がって来ていたし、予選は通過できるかなと思っていたんですけど……」

 集団の後方でレースを進めていたが、レース終盤に先頭まで上がってきた同組の田中が一気にペースを上げると、そのスピードに振り切られる格好になった。

「(予選通過ラインの)6着に入ればいいので、ラスト2週あたりから切り替えて、前の方に上がっていって勝負しようと思っていました。でも、1週目から『ちょっとキツイな』と思ってしまって、そこから自分の弱さがどんどんでてしまいました。国内最後の大きな試合だったので、先生や家族や支えてくれた人に恩返しになるようないい結果を出して、みんなを喜ばせたかったんですけど何もできなくて……本当に悔しいです」

 澤田は今年9月から、MLBやNBA、NFLでもドラフト上位選手を毎年、多数輩出する米国スポーツ界の超名門大であるルイジアナ州立大へ進学予定だ。日米の大学のスタート時期の違いから、高校卒業から半年の「空白期間」がある。そのため、春は陸協登録でGPシリーズを転戦するなど異例の環境の中で今季、ここまで戦ってきた。

「春の大会では記録を出しておきたかったんですが、思ったほどタイムがでなくて。大きな故障などはなく、調子も徐々に上がってはいたんですけど」

 それでもGPシリーズでは前半から仕掛けてみたり、集団後方でレースを進めてみたり、様々に試行錯誤をする様子も見て取れていた。それだけに、最大の目標に置いていた日本選手権での予想外の結果を、なかなか受け止めきれていないようだった。

 澤田を指導する浜松市立高校の杉井将彦監督は、以前話を聞いた際、彼女の強みのひとつを「いい意味で陸上素人なこと」と分析していた。 

【次ページ】 「独走・田中希実」の背中をどこまで追えるのか

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