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《バイエルン加入》ネット酷評→本田圭佑フォロー騒動から1年、“伊藤洋輝ロール”がドイツで旬なワケ「前半は守田(英正)くん。後半は逆に…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2024/06/14 11:00
カタールW杯では批判にさらされた伊藤洋輝だが、この1年間で左SBとしての安定感を大きく増している
伊東は身長188cmで左利き。ボランチ出身ながらフライブルク戦でのアシストのような、伝統的なSBとしての役割も担える。ちなみにこのアシストは、今季のブンデス序盤戦のなかでもコンビネーションから決まった最も美しいゴールの一つで、伊藤が「あれは“The SideBack”的なプレー」と振り返るほどだ。
つまり「伊藤ロール」は万能かつ応用可能であり、大きなスケールを有している。
バイエルン相手に支配率で上回ったことも
何より特筆すべきは、伊藤は森保一監督がチームを作るうえで大切にする「所属チームでやってきたことを代表に還元する」作業を高レベルで実現していることである。
森保監督は選手たちにレベルの高いクラブでプレーすることを求めているし、海外2部リーグの選手にはその状況でプレーし続けると、代表招集は難しいと示唆することもあるという。
では、現在の伊藤はどうか。
所属するシュツットガルトはブンデスリーガでバイエルン・ミュンヘン相手にボール支配率で58%を超えるようなサッカーを披露し、3位につけている。それを涼しい顔で代表にも還元する。森保監督のチーム作りの理想と言える働きを見せているのだ。
それだけ充実しているからだろう。「伊藤選手は、森保監督が求めているものを体現する象徴になれているのではないですか?」と問うと――返ってきた答えはこうだった。
「でも、僕よりも高いレベルでプレーしている選手がいっぱいいるので。そういう人たちから色々なアドバイスを聞きながら、今大会で成長していければいいかなと思っています!」
伊藤ロールという言葉の定着、ブンデスリーガの上位躍進を担う主軸、リーグを代表するSBとしての名声……。
いや、伊藤はもっと上を見ている。
その考え方にこそ、活躍の秘訣と選手としての伸びしろが隠されている。