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「やせたら可愛いのに」世間の声との闘い…“プラスサイズモデル”も務める女子レスラー・まなせゆうなの思い「ありのままの自分を愛せばいい」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byL)Norihiro Hashimoto、R)Yuki Suenaga

posted2024/06/08 11:01

「やせたら可愛いのに」世間の声との闘い…“プラスサイズモデル”も務める女子レスラー・まなせゆうなの思い「ありのままの自分を愛せばいい」<Number Web> photograph by L)Norihiro Hashimoto、R)Yuki Suenaga

現役の女子プロレスラーであり、プラスサイズモデルの活動も行っているまなせゆうな

気付き始めた「ありのままの自分を愛せばいい」

 新天地の東京女子プロレスでは、プロレス観の違いを痛感した。女子プロレスでは定番の「ヘア投げ」(相手の髪を掴んでの投げ)を出すとブーイングを浴びた。ここではファイトスタイルも求められる個性も、他とは違うのだ。

「東京女子では可愛くていつもニコニコしてる子が人気なんだなと感じました。見てるだけで幸せになるような。アイドルからプロレスに挑戦してくる人も多いです。私もハロプロとかアイドルが好きだったから、東京女子の魅力が凄く分かるんですよ。

 ただ、私はそういうタイプじゃない。誰かに言われたわけではないんですけど。若くもないし小さくもないし可愛くもない私は、東京女子にどうやって馴染めばいいんだろうって悩んでました。みんなみたいに華麗な技が使えるわけでもないし」

 そんな時、同じDDT傘下のガンバレ☆プロレス(ガンプロ)からオファーが来る。企画イベント『ぽっちゃり女子プロレス』への出場依頼だ。ガンプロ所属レスラーでDDT映像班ディレクターだった今成夢人が主催。自他共に認める“ぽっちゃり好き”が高じての開催だった。

 といって、バラエティ系の試合ではなかった。まなせは今成とシングルマッチ。“華麗なプロレス”をやりたくてもできなかったまなせだが、そもそも男子相手では“華麗さ”は通用しない。気持ちを全面に出してのぶつかり合いの中で、自分の体格が武器になることを知った。他人と違うことはマイナスではないのだ、と初めて思った。

「それまではずっと“やせろ”って言われてきたし自分でもそう思ってました。15kgダイエットしたこともあって、でもぽっちゃり扱いだったし(笑)。“もっと食べて大きくなれ”と言われたのはスターダムに入門した時くらいでしたね。そういう私に、今成さんは試合を通して“ありのままの自分を愛せばいい”というメッセージをくれました」

「体が大きいのは悪いことじゃないんだって初めて思えた」

 ぽっちゃり女子プロレス、通称ぽちゃじょと同日同会場で行われた『ラリプロ』にもまなせは出場している。やはりガンプロの石井慧介がプロデュース。ラリアットプロレスの略である。

 ここぞという場面で選手たちがひたすらラリアットを繰り出しまくる、90年代に石井が見てきたプロレスへの極端なオマージュ。これがまなせには新鮮だった。女子プロレスの世界には、ラリアットをフィニッシュに使う選手は少ない。

「石井さんから“まなせさん、腕太いしラリアット使えばいいのに”ってラリプロに誘われて。こういうプロレスのやり方もあるんだって」

【次ページ】 プラスサイズモデルの仕事を始めた理由

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