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「トップ選手ほど、注意できるのは親しかいない」反発する平野美宇を、母・真理子さんはどう支えたか?「娘たちは三者三様だから面白い」 

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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photograph byL)Shigeki Yamamoto、R)AFLO

posted2024/06/14 11:03

「トップ選手ほど、注意できるのは親しかいない」反発する平野美宇を、母・真理子さんはどう支えたか?「娘たちは三者三様だから面白い」<Number Web> photograph by L)Shigeki Yamamoto、R)AFLO

卓球パリ五輪日本代表にも選ばれた平野美宇の母・真理子さんに聞く、個性豊かな3姉妹との話

発達障害のある三女・亜子だからこそ

――なるほど「14番目」というネガティブなワードをポジティブに変えた例ですね。

 これって、どんな子にも通用すると思うんですよ。例えば三女の亜子には発達障害があって、人の気持ちや空気を読むことが苦手です。最近大人になり、本人もそれに気づいたようで「空気を読むって、分からない」と悩みを打ち明けてくれました。私は「そうだよね、空気を読むって難しいよね」と、まず亜子の気持ちを受け止めて「でもね、そんな亜子だからこそ、一緒にいて気が楽でいいっていう人もいるんだよ」と話しました。平野卓球センターに心がとても優しいコーチがいます。彼はダブルスのパートナーに気を遣い過ぎてしまってしんどくなることがあるとのこと。その点、亜子となら素直に卓球に集中出来るから、亜子と組みたいと言って下さってミックスダブルスを組んでいます。「亜子は○○コーチを助けているんだよ」と話すと、空気を読むのが苦手という個性が人の役に立つこともあると知りとても嬉しそうでした。

――子どもの指導では注意をしたり、時には叱る場面もあるかと思います。叱り方って難しいですよね?

 叱るのは子どもだけじゃないですけどね(笑)。コーチ陣もダメなところは叱るというか伝えるという気持ちで話をします。相手が子どもでも大人でもコーチでも我が子でも同じように、感情に任せて怒りをぶつけないようにしていますが、どうしてもイライラする時は相手のいいところを3つ探して先にそれを伝え、それから叱るようにしています。

――そんなに冷静になれるものですか!?

 褒めることを探したり言ったりしているうちに結構イライラが収まるものですよ。褒めてから叱ると子どもの反応も全然違います。叱られると覚悟しているところで褒められると萎縮しかけていた心の扉が開く。すると、口先だけではなく心からの「ごめんなさい」が聞けることが多いです。

「卓球“も”すごいねと言われる人になれ」

――なるほど。それでも感情が爆発してしまった時はどうすればいいのでしょう?

 その時は素直に謝る。「自分の感情をぶつけてしまって、ごめんなさい」というふうに。私は体罰と暴力は絶対に反対です。でも時には人間同士、感情がぶつかっちゃってもいいと思っているんですよ。指導者だって人間ですから、こういうことをしたら人は嫌な気持ちになって怒るんだよということを子どもに知ってもらう意味でも勉強になると思います。ただし、親や指導者は基本的に子どもよりも立場が強いので、子どもに頭ごなしに言うのは言葉の暴力。実際、私の卓球スクールのコーチには「もし感情をぶつけちゃったなと思ったら、必ず練習の最後に子どもに謝ってほしい」と伝えています。大人も間違ったら謝るんだということを子どもが学ぶって、大事だと思いませんか? 偉い人や立場が上の人は謝らないというのが、一番いけない教育です。

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