レッドブルによれば、ニューウェイは今後F1の設計業務から退き、レッドブル初のハイパーカー「RB17」の最終開発に専念した後、レッドブルから完全に離脱するという。

　だが、ニューウェイほどの才能をF1界が黙って見ているわけはない。すでにフェラーリ、メルセデス、マクラーレン、アストンマーティン、アウディ（現キック・ザウバー）、ウイリアムズなどが獲得に乗り出したと言われている。

　果たして、ニューウェイはどこへ行くのか？　昨年9月のインタビューで、ニューウェイはこんな思いを語っている。

「たとえばフェルナンド（・アロンソ／05年、06年王者）やルイス（・ハミルトン／08年、14年、15年、17～20年王者）と一緒に仕事ができれば、素晴らしいことになっただろう」

　アロンソとハミルトンがマクラーレンでチームメートとなったのは、ニューウェイがレッドブルに移籍した直後の07年。アロンソはその後、マクラーレンからルノーを経てフェラーリへ移籍し、2010年から14年まで5年間、ニューウェイが設計したレッドブルのマシンと頂点を争った。ハミルトンは13年にメルセデスに移籍。17年から4連覇するなど絶対的王者となったが、彼をその座から引きずり下ろしたのはニューウェイを擁するレッドブルだった。

ふたりの王者が熱望する才能

　アロンソはこう言う。

「ニューウェイがデザインしたマシンとタイトルを懸けて戦えたのは、名誉なことだった。ただ、人生で一度は彼と仕事をしたいという思いをいまでも持ち続けている」

　ハミルトンもこんな思いを抱いている。

「一緒に働きたいリストを作るとすれば、そのトップに来るのは間違いなくニューウェイ。彼と一緒に仕事ができれば光栄だ」

　レッドブルを離脱した後、ニューウェイが何をするのかは現時点で不明だ。だが、F1から完全にリタイアする前、アロンソやハミルトンの望みが叶うレースを一度でいいから見たいと思うのは、私だけではないだろう。