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スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「なぜ女子バレー部は減少、男子バレー部は増加?」令和の高校生が選ぶ部活はこんなに変わった「いま急増中の部活とは?」10年間でトレンド激変
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2024/05/08 17:01
高校の女子バレー部は10年間で8.4%ほど減少している(※写真はイメージ)
1980年代の傾向で見て取れるのは、競技そのものの力と、作品の力が融合して競技全体を盛り上げていたということだ。
野球は日本テレビが巨人戦を毎晩ゴールデンタイムに中継し、全国的な人気を誇った。1980年代など、巨人戦のチケットはいま以上にプレミアチケットだったと思う。その憧れの巨人軍を舞台にしたマンガ、アニメ、しかも選手は実名で登場していたのだから、少年たちへの影響は大きかった。
バレーボールも1964年の東京オリンピックで女子が金メダルを獲得し、男子代表(当時の表現でいえば「全日本」)は、「女子に追いつき、追い越せ」と様々な仕掛けを行っていた。男女ともに世界大会でのメダルは当然という時代だったが、いまだに「1番南、2番猫田……12番嶋岡」という塩梅で、ミュンヘンの金メダリストを諳んじることができる人が多いのは(おそらく60歳以上。私は特異なのであります)、メディアの力も大きかった。
また、ラグビーも1980年代までは新日鉄釜石の日本選手権7連覇、そして大学ラグビーの隆盛と国内的に大きな盛り上がりを見せていた。『スクール☆ウォーズ』もその文脈に位置づけられる。
つまり、競技と作品の相乗効果によって部活動に大きな影響を与えていたのである。
『スラムダンク』と『ハイキュー!!』の共通点
この流れに革命を起こしたのは、マンガの『スラムダンク』だった。
1990年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されたこの作品は、愛好者が一部に限られていた時代にバスケ人気に火をつけ、中学のバスケ部員が異常な増加を示した。
つまり、コンテンツが競技に先んじて人を動かしたのだ。
バスケに追い風が吹いたのは、日本でもNBAが衛星放送で見られるようになり、そのタイミングでマイケル・ジョーダンがシカゴ・ブルズを優勝させ、世界的な人気を誇ったからだった。マンガが先行、そして競技面でのフォローアップが国内ではなく、世界最高峰のものだったわけだ。
グローバル時代の到来である。
「スラダン」と「ジョーダン」の組み合わせは最強で、この流れが2024年のいままでつながっている。さらに、2023年に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』は興行収入が158億円を超える大ヒット作となり、この影響も向こう数年にわたって続いていくだろう。
男子バレーボールも同じような流れがあり、『ハイキュー‼』の人気が先行したあと、男子日本代表が国際競争力をつけ、石川祐希、高橋藍といったスター選手が登場した。
もし、パリ・オリンピックでメダルを獲得したら――その可能性は十分にある――男子バレーボールの人気はさらに沸騰するのではないか。
「この10年間で急増した部活とは…?」
だが、しかし――。
いま、2024年の日本でものすごい勢いで成長を遂げている部活動がある。