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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「ぶっちゃけて言えば…」安納サオリが業界最大手スターダムと“専属契約”決断の真相…人気女子レスラーが明かした“憧れ”《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/04/26 11:03
スターダムとの“専属契約”を発表し話題を集める女子プロレスラーの安納サオリ
「ぶっちゃけて言えば、ずっとスターダムに…」
2015年、新人時代にスターダムに預けられてトップレベルの女子プロレスを体感した。その頃にも、所属にならないかと誘われた。
だが当時は、アクトレスガールズを優先しなければならなかった。安納は団体1期生だ。
「その後、アクトレスガールズ時代にもう一度お話をいただいたんです。その時もお断りしなくてはいけなかった。アクトレスガールズとして初めてのビッグマッチ、後楽園ホール大会を控えていたので。初代シングル王者を決めるトーナメントもありましたし」
2018年11月、その後楽園大会で安納はトーナメント優勝、チャンピオンになった。同期であり親友であり最大のライバル、スターダムでの修行をともにした万喜なつみ(現なつぽい)は退団が決まっていた。自分がスターダムを抜けるわけにはいかない。ただ離れていてもスターダムの試合は常にチェックしていた。
「ぶっちゃけて言えば、ずっとスターダムに入りたかったですよ。新人時代に学ばせてもらったことも大きいし、選手のキラキラ感が凄いじゃないですか。自分もスターダムの一員になりたいっていつも思ってました」
スターダムに入らず、フリーで活動していた理由
団体から何度も誘われていたのだから、2019年にアクトレスガールズを退団し、フリーになったところでスターダムに入団することも可能だったはずだ。だが安納はそうしなかった。
「フリーになってみると、みんなが“安納はスターダムに行くんじゃないか”と予想するようになって。スターダムの対戦カードにX(未発表の選手)がいると“安納じゃないか”となる。そこに反発したのはありましたね。今スターダムに出ても“やっぱりな”で終わってしまうと」
フリーでの活動を始めた2020年にはコロナ禍が始まった。正直、うまくいかなかったことも多い。そんな中、あらゆる意味で意識し合う関係のなつぽいがスターダムへ。その時の気持ちは「絶望」だったと安納は語った。
それでもフリーとして3年踏ん張って「もうこれ以上自分の力でやれることはないかも」と感じるところまで来たのが2023年の初め頃だ。
「このまま同じ環境で闘い続けるのは限界だなって思うようになってました。どうすれば良いのかと悩んでいた時に、スターダムに誘ってもらったんです」
スターダムの試合映像を見てバックステージコメントを確認しながら、いつも「そこにいない自分」が歯がゆかった。「今のこの気持ちを伏線にしてやる」と思い続けた。その伏線を回収する時がやってきたのだ。