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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
首位打者・大谷翔平の得点圏打率.130だが「トラウトらと同じで問題ない」ワケ…初球打ち打率4割、39本塁打もスゴい中で“データ以外の懸念”
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2024/04/24 17:01
得点圏打率が取りざたされている大谷翔平だが、「初球打ち」では凄まじい成績を残している
それ以外のフェアグラウンドに飛ぶ打球は「運の産物」で、投手は安打になることを阻止できない、ということだ。
マクラッケンは、投手の本塁打を除く被打率であるBabip(Batting Average on Balls In Playを考案した。
Babip=(被安打-被本塁打)÷(打者-与四死球-奪三振-被本塁打)
これは、端的に言えば安打の中の「運の要素」の率だ。
Babipは長期的に見ていけば、どの投手もリーグの被打率に近い数字に落ち着く。例えばシーズン中にこの数字がリーグの平均値より高い選手は以後低下し、低い選手は以後上昇する傾向にある。
また打者側から見ても、高い打率をキープしている打者でもBabipがリーグ平均より高い打者はいずれ打率は落ちていくし、低打率にあえぐ打者でもBabipも低い打者はいずれ打率が上昇する、との理屈だ。
大谷翔平の打率は.364で、Babipは.410になっている。いずれ打率は下がっていくとみるべきだろう。得点圏打率は.130だが、得点圏でのBabipは.200と打率よりやや高くなっている。とはいえ両方ともに低いゆえに、現状の得点圏打率からほぼ確実に上がっていくとみていい。
「初球を狙いすぎ」との声も…今季打率.462
もう一つ「大谷翔平は初球を狙いすぎる」との声もある。
MLBとNPBの野球の大きな違いの一つが「積極性」だと思う。
4月20日のメッツ戦で、ドジャースの山本由伸は2回1死から5番のDJスチュアートに155km/hの4シームを右翼席に放り込まれたが、山本とスチュアートはもちろんこれが初対戦。その初球を思い切り振ったのだ。打球速度176.5km/h、飛距離134.7m、打球角度19度。弾丸ライナーだった。
投手がストライクゾーンに投げてくる、あるいは自分が想定するコースに来ると思えば、思い切って打てばよいのだ。
今季、大谷が「ファーストピッチ」を打った打撃成績は以下の通り。
13打数6安打1二塁打1三塁打1本塁打3打点、打率.462
通算でも初球に強く、打球速度も凄まじい
実は大谷は「初球」が大好物で、年度別での初球を打った打撃成績は、こんなすごい成績になっている。
2018年/38打17安5本10点 率.447
2019年/52打22安6本16点 率.423
2020年/9打1安1本3点 率.111
2021年/62打23安8本15点 率.371
2022年/96打33安8本22点 率.344
2023年/68打34安10本20点 率.500
2024年/13打6安1本3点 率.462
通 算/338打136安39本89点 率.402
調子が上がらなかった2020年を除き、常に4割前後の高打率、それだけでなく初球本塁打も39本打っているのだ。