投手の人生を背負う責任感

　山本は常に言う。「いろんなピッチャーの人生を背負っているのがキャッチャーのポジション」だと。人の人生を引き受けることは重荷であることは間違いないが、山本はシリアスな表情を見せつつも快活に言葉を発する。

「ピッチャー全員が一軍のチャンスをもらえるわけではないですけど、そのもらった少ないチャンスを生かしてあげるのがキャッチャーの仕事だと思っています。ピッチャーがいい人生を送ることができれば、きっと僕が歳を取った時に“気持ち良さ”を感じられると思うので、しっかりとリードしていきたい」

　誰よりも頑固な男は、そう言うと目尻に皺をよせ優しい笑顔を見せた。

全てを自分たちへのプレッシャーに

　さてシーズンは始まったばかり。山本は主力のひとりとして、どんなプレーを心掛けていくのか。

「若いピッチャーも出てきていますし、この1年が勝負というか、成長していけると思うので、今年は優勝します！」

　山本はきっぱりと言い切った。

「ただ、今年優勝したとしても成長していなければ意味がない。そこをチーム全体として考えていかなければいけないと思うし、負けも、競った試合の勝ちも、全てを自分たちへのプレッシャーにして成長に繋げていければと思っています」

　今はもちろん、将来をも見据える視点。こう語る山本からは、25歳とは思えない凄みと貫禄がほのかに滲み出ていた。

＜前編とあわせてお読みください＞

#1から読む

阪神・梅野隆太郎からの助言で「考えを改めた」DeNA山本祐大25歳が語る「正捕手への覚悟」「打撃で意識しているのは…」