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《阪神エース対談》青柳晃洋30歳×村上頌樹25歳「中日の大野雄大さんに投げ負けたのが悔しくて」「僕は山本由伸。向こうからナイスピーって」

posted2024/04/05 11:00

 
《阪神エース対談》青柳晃洋30歳×村上頌樹25歳「中日の大野雄大さんに投げ負けたのが悔しくて」「僕は山本由伸。向こうからナイスピーって」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

(写真左から)村上頌樹、青柳晃洋。対談と撮影は沖縄でのキャンプ中に実施された

text by

酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

 復活を期して9年目のシーズンを迎えるベテラン右腕・青柳晃洋(30歳)と、昨季プロ初勝利からMVPまで上りつめた充実一途の村上頌樹(25歳)。仲良し師弟が理想のエース像から今季の抱負まで語り尽くした。
(初出:発売中のNumber1093号[師弟エース対談]青柳晃洋×村上頌樹「2人でタイトル争いしよう」より)

5歳差の子弟「エース論」

 師匠は弟子を「頌樹」と呼び、弟子は師匠を「ヤギさん」と呼ぶ。5歳違いで仲のいい兄弟のようにも見える2人は、2023年1月の自主トレでコンビを結成した。今季も先発の柱として期待される両者は、自らのエース論から語り始めた。

青柳 僕は自分がエースだなんて思ったことは一度もないんだよ。記事で「エース奪還」と書かれたりするけど、そもそも1回も獲ってない(笑)。

村上 自分も、エースだと思ったことはありません。首位攻防戦の大事な試合を任されたり、チームの連敗を止めたり、そういう場面で勝てるのがエースだと思います。

青柳 実績だけじゃなく、周りに認められるチームの顔だからね。自分で自分のことをエースと思っていたら、僕は成長できない。エースになるための振る舞いを考えつつ、現役を終えた時に「阪神のエースは青柳だった」と言ってもらえる選手になりたい。現段階では、その年その年のエースがいればいい。去年は8勝止まりで成績が良くなくて、逆に頌樹が10勝、防御率1.75と活躍したから、頌樹をエースと呼ぶ人は増えると思うよ。

村上 去年、たくさん投げさせてもらえたので、エースになっていきたいなと思うようになりましたね。

メッセンジャー、能見篤史から青柳が学んだ姿勢

青柳 僕がタイガースに入った時、エースだと思ったのはランディ(・メッセンジャー)と能見篤史さん。1年目にランディと話す機会が多くて、「どんな試合でも俺がいく」という気持ちが強かった。僕もそうだけど、ランディも「途中で代わるのがすごく嫌。投げるからには最初から最後まで投げたい」とはっきり言っていた。

村上 能見さんはどうでしたか?

青柳 妥協がないし、ストイック。こないだも「試合中、野手は自分を見ている。ふがいないピッチングをしても、頑張って試合を続けてくれている。落ち込んだりせず、試合が終わるまで、ずっと同じ表情でいくのは大事だよ」とおっしゃっていた。野球に向き合う姿勢は学ぶところが多いよ。

村上 子どもの頃から真っ先に思い浮かぶのはダルビッシュ有さん(現パドレス)か、前田健太さん(現デトロイト・タイガース)です。ダルビッシュさんは誰が見てもエース。「今日は勝てる」という雰囲気になります。

青柳 プロに入って一番印象に残っている試合があるんだ。'22年5月、中日の大野雄大さんと投げ合った時、自分で志願して延長10回も投げたけどサヨナラ負けを食らった。大野さんは10回途中まで完全試合をしていて、投げ負けたのが悔しくて。

【次ページ】 青柳「先輩思いのピッチングをしてくれたなあ」

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