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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「オオタニ報道一色で残念。クボやミトマに…」“日本オタクなブラジル記者”森保ジャパン観戦滞在記「ドンキで買い物、ウドンも美味しいね」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNanae Suzuki/Thiago Bontenpo
posted2024/03/26 17:01
森保ジャパンを観戦した“日本オタク”のチアゴ・ボンテンポ記者。大谷翔平の報道など、現在の日本の様子をどう感じるか
「日本では、野球人気が本当にすごいね。スポーツ新聞の1面は、連日、大谷や野球のことばかり。フットボールの影が薄いのが残念だ」
――ブラジルやアルゼンチンでは、スポーツ、イコール、フットボールですからね。今後、日本でフットボールが野球を上回る人気を獲得するためには何が必要だと思いますか?
「サムライブルーがワールドカップ(W杯)で好成績を残さなければならないし、大谷クラスの世界的なスター選手が出てくる必要があるだろうね」
最も高い潜在能力を持つのはクボとミトマだろう
――現在の日本人フットボーラーで、野球の大谷のような存在になれる可能性を持つ選手がいると思いますか?
「最も高い潜在能力を持つのは、久保建英と三笘薫だろう。でも、大谷は世界一の野球選手だよね? とすると、フットボールならキリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)のような存在ということになる。現時点ではまだそこまでの選手はいないかな」
――野球の日本代表は、昨年3月に行なわれたWBC、つまりフットボールであればW杯に匹敵するような国際大会で、決勝でアメリカ代表を倒して優勝。多くの日本人は「世界最高峰のリーグはMLBかもしれないが、日本代表は世界最強」と考えています。
「であれば、日本でフットボールが野球の人気を超えるには、W杯で優勝し、世界一の選手を生み出す必要がありそうだね。もちろん、容易じゃない。でも、決して不可能じゃない。日本がW杯でドイツとスペインを倒すなんて、誰も考えていなかった。でも、2022年、サムライブルーはそれを見事に成し遂げたんだからね」
――2022年のカタールW杯以降、日本のフットボールは進歩していると思いますか?
「アジアカップで優勝を期待していたけれど、残念な結果に終わった。これだけ見ると、進歩したとは言い難い。今後、選手たちが欧州と日本でさらに成長し、チーム戦術に磨きをかけ、2026年W杯ではぜひとも2022年大会を上回る成績を残してもらいたい」
日本のフットボールと文化をブラジルで伝えてほしい
近年、世界中で日本食が大変なブームとなっており、アニメ、漫画、映画などの日本文化も多くの国で人気を集めている。日本のフットボールも、近年のサムライブルーの奮闘や日本人選手の欧州クラブでの活躍などで注目の度合いを高めている。
とりわけ、ブラジルは世界有数の親日国であり、長年に渡って日本のフットボールに大きな影響を与え、普及と強化を手助けしてくれてきた。
加えて、チアゴ・ボンテンポ記者のように日本文化を心から愛し、深く理解している人物が日本のフットボールを極めて頻繁に取り上げてくれるのは、本当にありがたい。2019年、JICAが40日間の日本短期留学の機会を与えたが、彼はすでにその数十倍のお返しをしてくれているのではないか。
これから6月中旬まで、日本各地を巡って素晴らしい体験をしてもらいたい(彼がまた新たな知見を得た際には随時お届けする予定だ)。そして、引き続きブラジルで日本のフットボールと日本文化を広く伝えてくれることを願っている。<第1回からつづく>